【経済学科】大塚ゼミの学生が、みずほ学術振興財団「第66回懸賞論文」学生の部でダブル入選
2025年04月25日
公益財団法人みずほ学術振興財団が主催する「第66回懸賞論文」経済・学生の部で、経済学部経済学科大塚ゼミ所属学生の応募論文が3等と佳作に選ばれました。
3等に入選したのは、菊池萌那さん(3年)を代表執筆者とする論文(応募論題: 世界経済の分断)です。菊池さんは、同じゼミで同学年の大野達也さん、今野佑紀さん、松田空登さんとともに、ロシアによるウクライナ侵攻を契機に変化した世界の貿易構造が、日本経済にどのような影響を与えるのかについて実証研究と政策提案を行いました。
論文で菊池さんらは、国内のインフレーション(物価上昇)の要因に注目。為替、国際市況、家計消費との関連性を「時変係数回帰モデル」と呼ばれる統計モデルを用いて日米のデータに当てはめて実証分析を行い、日本の物価上昇は2023年以降、需要主導型であるという推定結果を示しました。また、上記3つの要因の変化が将来のインフレーションにどれだけ寄与するかを「インパルス応答関数」と呼ばれる分析手法で2026年まで試算し、数量的に示しました。さらに、日用品価格の高騰で家計が逼迫している現状を踏まえ、エンゲル係数を改良して生活費に関する指数を計算し、推定結果として示した需要主導型の物価上昇は表層的であり、本来は費用主導型である可能性を指摘し、現在、求められる政策は費用主導型インフレーションへの対応であると結論付けました。
佳作に入選したのは、今年3月に経済学科を卒業した遠藤亜弥さん(大塚ゼミ所属=応募当時4年)が執筆した論文(応募論題:『金利のある経済』への移行と日本経済)です。
この論文では、昨年3月に日本銀行が実施した政策金利引き上げと国内企業の投資行動への関連性を定量的に分析。まず、「トービンq」と呼ばれる企業の設備投資量の決定要因に着目し、実証分析モデルを導きました。実証分析では、産業別財務データ(104業種)を用いて各業種の限界トービンqを推計。さらにその推計値と金利変化の関連性について、重回帰モデルを用いて産業別の投資に対する金利感応度を推計しました。また、既存研究で使用されていたパネルデータ分析では有意な結果が出ないことにも言及したほか、金利引き上げの影響を検証するために、2024年までの限界トービンqの予測を行い、投資における産業格差が生じることも指摘。まとめとして、それら産業の雇用環境を公的統計から調査し、求められる雇用安定化政策を提案しました。
今回の受賞に伴う表彰式は、6月11日(水)に行われる予定です。
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