"軽い身体活動"が子どものQOL低下に関係 5年間の縦断研究で可能性を示唆
2025年08月28日
本学人間科学部の岡﨑勘造教授、東北大学の前田俊太准教授、電気通信大学の大河原一憲教授らの研究グループは、小学4年生の児童を対象に、中学2年生までの5年間追跡調査を行い、ゆっくり歩くことや立ったまま本を読む、軽い片付けといった「軽い身体活動」(light-intensity physical activity)の増加が子どものQOL(生活の質)、特に心理社会的・感情面の低下と関連する傾向があることを明らかにしました。心理社会的・感情面のQOLが低下すると、子どもは気分が落ち込みやすく、友人や学校生活で困難を感じやすくなる傾向があります。
従来は「中等度以上の身体活動」や「座りすぎ」の影響が主に注目されてきましたが、軽い身体活動の影響に関する縦断的知見は限られており、本研究はその不足を補う探索的な成果を示しています。
今回の結果は、子どものQOLを高めるには、単に活動量を増やすだけでなく、どのような強さの身体活動を取り入れるかを検討する必要があることを示唆しており、学校教育や保健指導の現場に加え、家庭や地域社会における子どもの生活習慣づくりにも、新たな視点を提供する知見といえます。
本研究の成果は、今年7月に国際学術誌「Mental Health and Physical Activity」に掲載されました。
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