東北学院大学

新着情報

【開催報告】第3回3L企業研究会を開催しました

2025年10月10日

 9月25日、五橋キャンパス未来の扉センターで、第3回3L企業研究会を開催しました。本研究会は、東北学院大学地域総合学部と株式会社東京商工リサーチ東北支社の共催により、対面とオンラインのハイブリッド形式で実施しました。

251010-1-1.jpg

 今回のテーマは「観光」ということで、宿泊業を営み、旅館業を通じ社会・地域貢献を続けている、株式会社峩々温泉代表取締役竹内宏之氏と、株式会社ニュー泊崎荘代表取締役高橋宮倫子氏を講師にお迎えしました。両氏は、長い歴史を持つ宿を事業承継により引き継ぎ、地域とともに歩む旅館経営をしています。

 はじめに竹内氏より、蔵王で150年続く峩々温泉の持続可能性を意識した経営戦略について講演いただきました。演題は「六代目の挑戦-我が子へつなぐ未来・150年企業の事業承継」とし、年月をかけて作り上げてきたものへの愛情と、それを「誰に託すか」と考えたときに我が子を選んだという想いを語られました。「事業承継とは教育であり、一子相伝だと考えています。社長になった時点で承継を意識し、子どもと目的を共有し共に成長することで価値観を形成していくことが重要です」と語り、事業承継を人生と重ねた視点からお話しいただきました。

 さらに、持続可能な地元企業となるために「旅館をやっているだけでは地元の人間として認められない。社会的責任を果たしながら、いかに地元とつながり、しっかり根を張っていくかが重要です」と語られ、地域との信頼関係を構築しながら事業を継続していくことの大切さが強調されました。

 次に高橋氏からは「南三陸歌津地域とともに歩むニュー泊崎荘」と題して講演いただきました。高橋氏は「バブル期の忙しさの中で育ち、旅館業に関心はなかったが、父の病をきっかけに家族を守るために継ぐ決断をしました」と、事業承継に至るまでの葛藤や背景を率直に語られました。経営者としての覚悟はないスタートではあったが、宿の改善に取り組む中で、資金難の中クラウドファンディングを活用し露天風呂を設置、さらに海の景観を生かした別邸のオープン、ペット連れ客の受け入れを強化するなど、承継後の新たな挑戦について紹介いただきました。

 また、質疑応答では「事業承継をせずに事業を閉じてしまう高齢の経営者に対して、どのようなアドバイスがありますか」との質問に対し、「事業承継には早期の準備が重要です」と回答があり、参加者からは「現場のリアルな声に学びがあった」「自身の事業運営に役立つ内容だった」といった感想が寄せられました。

 その他、両氏からは、震災復興活動や地域とのつながりを大切にした宿づくりについてもお話しをいただき、観光業を通じた地域貢献活動について知ることができ、充実した研究会となりました。

251010-1-2.jpg 251010-1-3.jpg