楊先生のゼミ紹介
2025年05月12日
法学部生にとって、判例を読み、その内容をまとめる能力を身につけることは大事です。私の担当する基礎演習Ⅱは、判例を読む能力の養成に特に着目し、学生に刑法の重要判例および判例解説を読んで文章を作成し、議論してもらう形で進みます。たとえば、ある行為について処罰の規定がないのに、それに関連している、または似ている条文を適用してそれを処罰するのは刑法において禁止されます。それは「類推解釈の禁止」といいます。類推解釈の禁止を取り扱った授業では、「クロスボウでカモを狙って矢を4本撃ったが、逃げられて捕まえられなかった」という事件を取り上げました。この事件では、裁判所は、法律上禁止される「捕獲」にあたるとしたが、捉えそこなったのに「捕獲」にあたると解するのは類推解釈ではないか、という学者の評論があります。ゼミでは、学生に裁判所の判決文および学者の評論を読んだうえで議論をしてもらう形で類推解釈の禁止への理解を深めました。
(教員 楊 秋野)
楊先生のゼミでは、犯罪と刑罰に関する法律である刑法の学習を中心に行います。刑法は、六法記載の条文に書かれたことを覚えるだけでは足りず、犯罪がいかなる場合に成立するのかを深く突き詰めていく学問になります。そのため、覚える事柄や、議論するべき内容が多く、法律学の中でも特に難しい分野だと感じていたため、刑法という分野の理解を深めたいと思い、楊先生のゼミを選択しました。
楊先生のゼミでは報告やレポート作成を中心に行いました。ゼミの報告では、「正当防衛」を担当しました。よく耳にすることが多い「正当防衛」ですが、これが成立するためには、①急迫不正の侵害、②自己又は他人の権利を防衛するために行われること、③防衛行為の必要性・相当性という要件を満たす必要があります。教科書や判例を調べたうえで報告し、そして報告で楊先生の指摘、指導を受けたことにより、これらの要件がどのような場合にみたされるかを理解できるようになり、刑法という学問がおもしろいと思うようになりました。
(3年 別所 功一)