東北学院大学

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偉人たちの業績が紐解かれたシンポジウム「ダンテと山川丙三郎」開催

2015年11月19日

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 11月14日、土樋キャンパス押川記念ホールにおいて、東北学院創立130周年プレ企画「ダンテと山川丙三郎」が開催されました。当日はあいにくの雨模様にもかかわらず、会場にはたくさんの方が来場し、その関心の高さをうかがうことができました。
 第一部では「東北学院の生んだ知られざる偉人― 山川丙三郎」と題し、山川ダンテプロジェクトの主幹である下館和巳教養学部教授が登壇。『神曲』を書いたイタリアの詩人ダンテは、愛する人を亡くし、自らが生きる意味を模索しながら死を見つめていたこと。日本で初めてダンテの『神曲』を翻訳し、高い評価を得ているのが本学の卒業生で後に教鞭をとった山川丙三郎であること。そして、二人の生い立ちなどについて紹介しました。また、下館教授は山川丙三郎を探求していくうちに、山川と書簡を交わしていた大賀寿吉という人物が、山川のダンテ翻訳を支えていたことを突き止めた経緯など、まさに運命的な導きと出会いの結果であったことなど、30有余年にも及んだ探索の道のりを、一つの物語を読むように語ってくれました。

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 講演に引き続き、山川から大賀宛てに送られた新発見の書簡が本学へ寄贈されるセレモニーが行われました。本学を代表して書簡を受け取った松本宣郎学長は「下館教授が長い間ダンテと山川に関する研究を粘り強く続け、その中で失われていたものが幸運によって繋がったことに深い感銘を受けました。このたびは、大変貴重な書簡を東北学院に賜りまして誠にありがとうございました」と感謝を述べました。
 続く第二部では、ダンテの神曲を映像化したショートムービーを上映。地獄・煉獄・天国の3編からなる独特の世界観をわかりやすくビジュアル化された21分の上映でした。
 休憩後の第三部は、下館教授、赤井規晃大阪大学付属図書館司書、松田公江山川ダンテプロジェクトリサーチフェローによるパネルディスカッション「『神曲』翻訳の秘密―山川丙三郎と大賀寿吉」。下館教授とその教え子である松田氏が大賀寿吉にたどり着くまで多数の困難があったこと。そして、ダンテ、山川、大賀について独自に調査・研究していた赤井氏との出会いがあったこと。それは本当に偶然の出会いがあったことにより、点が線につながったことの証明でした。

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 大賀から山川へダンテ翻訳に役立つ著書が贈与されていたり、山川が大賀へ翻訳文や構成に関してアドバイスを求める書簡を送っていたり、これまでの調査・研究で見えてきた両氏の関係などを、予定時刻をオーバーするほどたっぷりと紹介されました。200名を超した来場者は満足そうでした。
 本学と大きな関わりがある偉人・山川丙三郎を辿ることでわかった数々のドラマティックな出来事。その物語にふれられる特別展が、11月30日(月)まで、土樋キャンパス東北学院大学中央図書館において開催されています。シンポジウム後は寄贈された山川の直筆書簡が展示されていますので、この機会にぜひご覧ください。
 なお、当日のシンポジウムのパネラーである大阪大学附属図書館 赤井規晃氏による山川丙三郎・大賀壽吉関連の論文が本学英学史年報に掲載されております。
 当該論文は本学学術情報リポジトリに収録されており、全文閲覧が可能です。ぜひご覧ください。

・「山川訳ダンテの生みの親ー忘れられたダンテ学者大賀壽吉についてー」(東北学院英学史年報 第35号 2014.3)
・「大賀壽吉のダンテ観と山川丙三郎の評価について」(東北学院英学史年報 第36号 2015.3)

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