アジア文化史専攻の院生 中国貴州省で民間仮面演劇を調査
2015年12月16日
アジア流域文化研究所・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「新時代における日中韓周縁域社会の宗教文化構造研究プロジェクト」による海外学術調査の一つとして、大学院文学研究科アジア文化史専攻博士前期課程の森千可子さん・砂金春奈さん・佐藤由浩君・安保智君および谷口満教授の五名が中国貴州省を訪問し、民俗資料と考古資料の現地調査を実施しました(12月6日~9日)。
調査対象の中心となったのは、貴州省の各地に残っている仮面演劇で、中国では一般に“儺戯”と通称されているものです。貴州民族大学・貴州省民族博物館・貴州福縁文化伝播有限公司・秦発忠儺雕芸術工作室において保存情況・伝承情況などを調査するとともに、安順市西秀区高壩村で安順地戯とよばれる仮面演劇の実演を観賞することができました。安順地戯は、旧正月や特別な記念期間に上演されるのですが、貴州民族大学陳玉平先生の特別なご配慮により、農家の方々が組織している西秀区旧州鎮羊保村「羊保地戯隊」のメンバーが、お仕事の合間にとくに集まって臨時に上演してくださったのです。
一時間ほどの上演でしたが、隋唐交代期の歴史故事に題材をとった『大反山東』という出し物のなかから、二幕を演じていただきました。演場には高壩村や近隣の人々が多数見物に訪れ、楊林・羅成・秦叔宝・尚司徒という勇将・猛将の演武を、現地のみなさんと一緒に楽しむことができました。
こういった民間演劇が、現地の人々の社会や文化の維持と発展にどのように役立ってきたか、今後どのように役立っていくであろうかという点を考察することを目指して、アジア流域文化研究所とアジア文化史専攻は、来年以降も調査を続けていくことを計画しています。