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【英語英文学研究所 学術講演会】小説の言葉 ―プロチョイスとプロライフの間から垣間見るアメリカ的風景(10/26開催)

2019年07月19日

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 1973年に中絶をする権利がアメリカの最高裁で認められて以来、その是非は現在進行形でアメリカを二分する問題であり、大統領選のたびに大きな争点となっている。また最近まで、9名の最高裁判事のなかでもプロチョイス(中絶賛成派)に近いリベラル派と、プロライフ(中絶反対派)に近い保守派が拮抗していたが、キリスト教福音派(プロライフの最右翼)の大多数が支持するトランプ大統領が新たに指名した二人の判事が保守派であったことから、保守派が優勢となり、1973年の判決が覆されるのか否かが注目されている。
 本講演では、個々の人々が—非常に感情的に、時に暴力的な手段を伴いながら—プロチョイスとプロライフに分かれて政治的意見を表明するなか、小説の言葉が、政治的な言説とは異なった次元で二つに分断されたアメリカ的風景を総体的に浮かび上がらせることができるのではないか、中絶クリニックに来た親子をめぐる双方の人間模様を描いたアーシュラ・K・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)の短編「立場を守る」(“Standing Ground.” 1992、平石貴樹編『しみじみ読むアメリカ文学』所収、畔柳和代訳)を中心に検討する予定である。その際、キリスト教福音派たちによるプロライフの運動を批判的に描いたドキュメンタリー映画『ジーザス・キャンプ』(2006)や、プロチョイス派の最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの功績をたどった同じくドキュメンタリー映画『RBG』、ル=グウィンのエッセイなど、プロチョイス、プロライフそれぞれの政治的な主張をいくつか見ていく。

 講 師:宮本 文 氏(群馬大学教育学部准教授)
     アメリカ文学専門(関心分野:20世紀以降のアメリカ小説・アメリカ詩)

 日 時:10月26日(土)14:40~16:10

 会 場:東北学院大学土樋キャンパス ホーイ記念館H302教室

 主 催:東北学院大学英語英文学研究所

 申込不要・受講料無料

 問合わせ先:
 東北学院大学研究機関事務課
 TEL:022-264-6401
 FAX:022-264-6530