東北学院大学

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「第八回 住田古瓦・考古学研究奨励賞」の受賞について

2020年05月11日

 2020年1月に本学文学部歴史学科の佐川正敏教授(考古学専攻)も執筆者として名を連ねている『中世瓦の考古学』(中世瓦研究会編、2019年5月、高志書院出版)が、「第八回 住田古瓦・考古学研究奨励賞」を受賞しました。住田正一氏(1893~1968年)は戦前、国際汽船に長く勤務し、戦後は東京都副知事、呉造船所社長・会長の重責を担いながら、海事史・法制史を研究し、日本海事史学会会長を務められました。また、住田氏は古瓦研究者でもあり、全国の国分寺跡等を踏査して収集した「住田正一古瓦コレクション」は高い学術的価値をもっています。そのような住田氏の経歴を記念するために、公益財団法人交通研究協会は、交通に関する各分野(鉄道、海事、航空、物流)及び古瓦・考古学において優れた功績を残し、社会に大きな貢献をした著作や研究等に対して顕彰を行っています。今回の受賞は、本書が鎌倉~室町時代の中世瓦の分析を通して寺院の造営や流通関係を全国的視野から研究し、中世寺院・中世瓦の研究発展に大きな貢献をしたことに対するものです。本書は、小林康幸氏(鎌倉市役所、中世瓦研究会)が全国各地の19名の瓦研究者を結集させ、その研究成果を編集した力作です。佐川教授は、かつて奈良法隆寺の中世瓦の悉皆調査に基づき全国的視野で先駆的研究を行っていた関係で、小林氏と30年以上の付き合いがあります。本書には、佐川教授がゼミ生とともに宮城県栗原市高清水の仰ケ返り地蔵前(のっけがえりじぞうまえ)遺跡で行った発掘調査成果に基づいて執筆した「日本最北の鎌倉時代瓦窯跡を探る」と題する論考が掲載されています。佐川教授は、このような調査と研究を契機として、現在は中国、韓国、モンゴル、ロシアの中世瓦の研究を展開中です。
 

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