東北学院大学

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鈴木義男(東北学院第6代理事長)の評伝が刊行されました

2023年02月20日

 この度、本学名誉教授の仁昌寺正一氏が執筆された『平和憲法をつくった男 鈴木義男』(筑摩選書)が、筑摩書房より刊行されました。 
 鈴木義男(1894-1963)は、福島県白河出身で、東北学院普通科の卒業生であり、東北学院第6代理事長を務めた人物です。東北学院卒業後は旧制二高・東京帝国大学と進み、吉野作造・美濃部達吉ら大正デモクラシーの旗手となる人々の薫陶を受けます。欧米留学を経て、東北帝国大学教授を務めた際には、当時の日本の軍事教育批判を行いました。その後は上京して弁護士に転身し、河上肇・宇野弘蔵・有澤廣巳ら経済学者や、宮本百合子ら文学者、李光洙をはじめとする朝鮮の人々など、治安維持法違反者の弁護にも尽力しました。
 終戦直後には衆議院議員となり、1946(昭和21)年夏には帝国憲法改正案委員小委員会のメンバーの一人として、帝国憲法改正案の審議に携わりました。その小委員会で、鈴木の提案から第9条に平和の文言が加わったほか、GHQ草案にはなかった第25条の生存権が追加されました。また、最近の研究では、国家賠償請求権や刑事補償請求権も鈴木らの提案によって追加されたことや、三権分立の確立をめざして尽力していたことも明らかになりました。
 日本国憲法発布後の片山哲内閣のもとでは司法大臣を、続く芦田均内閣では法務総裁(現在の法務大臣)も務め、戦後の司法改革に取り組む一方で、東北学院第6代理事長として、現在の東北学院大学の発展の礎を築いた人物でもあります。
 今回、刊行された仁昌寺氏の著書では、約20年ちかくにわたって調査・収集された資料に基づき、鈴木義男という人物ついて詳細に紹介されています。その中には、東北学院史資料センターで所蔵・保管している資料も使用されており、東北学院の歴史をたどるうえでも貴重な一冊となっております。
 東北学院で学んだ卒業生でもあり、キリスト教的人道主義の精神を受け継いだ人物が、その後、どのような人生をたどったのか、どのような思想と行動によって社会に貢献したのかが描かれております。書籍版・電子書籍版ともに発行されておりますので、ぜひご一読ください。

【書籍について】


『平和憲法をつくった男 鈴木義男』(筑摩選書)
 仁昌寺正一(本学名誉教授)


 刊行日:2023(令和5)年1月16日
 電子書籍版:2023(令和5)年2月1日
 出版社:筑摩書房
 価格:1,980円(本体1,800円)

<書籍に関する詳細はこちら>
筑摩書房ホームページ
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