東北学院大学

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生成系AIに関する学長メッセージ

2023年06月08日

学生の皆さんへ

 

生成系AIに関する学長メッセージ

                                  東北学院大学
                                学長 大西 晴樹

 ChatGPTに代表され、最近急速な進展を遂げている生成系AIは、対話的な要求による文章、画像、音楽、コンピュータプログラムの自動生成や、より効果的なインターネット検索を実現できることから、今後様々なソフトウェアやサービスにおいて発展することが予想される大変期待の大きいツールです。
 一方、これらの技術は創る側も利用する側も、そしてそれらを受け入れてゆく社会のいずれも未成熟です。私たちはこれらのしくみや、長所・短所を常に自ら注意深く調べ、理解して活用しなければいけません。
 そこで、学生の皆さんに生成系AIを有益な道具として適切に利活用していただくために、東北学院大学として特に留意してもらいたい事柄を重要な順にまとめました。いずれも大切な内容ですので、注意深く最後まで読んでください。

(1)個人情報等の保護について
 生成系AIに限らず、検索エンジン、SNSなども含め、インターネット上のサービスに個人情報や機密情報、未公開研究に関わる内容、文書、画像をはじめとした各種著作権の侵害が懸念される情報、ヘイトスピーチに類する発言、危険物の製造法など他人に害を及ぼすような質問などを不用意に入力することは厳に避けてください。一度入力された情報を完全に削除することは事実上不可能であり、その情報はときに露呈し他者を傷つけることになります。同様に、個人や特定の団体、企業に関わる内容についても、取り扱いには十分な注意をお願いします。

(2)著作権について
 生成系AIが出力する成果物は、第三者の著作権保護について十分な対応がなされていない可能性があります。また、気づかないうちに、学生のみなさん自身が著作権の侵害者となる危険性もあります。生成系AIの生成物を自らの成果物として安易に利用することが無いように十分気をつけてください。

(3)学修活動における利活用方法について
 大学の講義における生成系AIの利活用については、ときに非常に有益な場合も考えられますので、原則として科目担当教員の指示に従ってください。
 ただし、全体として注意してもらいたいこととして、次のような事柄があげられます。まず、生成系AIから得られた回答をそのまま自分の成果として提出してはいけません。このような利用方法は皆さんの思考の習慣を奪い、本来の目的である「学び」を大きく妨げます。また、生成系AIの出力をそのままレポートや小論文、学位論文に転用することは多くの場合「剽窃(ひょうせつ)」と判断される危険性があります。要するに、これは不正行為であり、出典元が生成系AIであっても、他人の成果をコピーする行為と何ら変わりません。授業科目によっては生成系AIの使用を禁じている場合もあり、提出した成果物が不正と判断されてしまうこともあります。生成系AIによる生成物の安易な転載は、資料調査を行なって探し出した情報から貴方の判断で文章を組み立て、再構成することとは基本的に異なります。
 自ら学ぶ姿勢の中で、情報収集のきっかけや要約、文章校正の補助、思考の整理などにおいて適切に利活用することを期待します。

(4)生成物に含まれる情報の信頼性について
 そもそも生成系AIは正確な情報の出力を保証していません。それどころか、誤った情報を含んでいる場合も多くあります。特に文章出力について、AIは過去に学んだ語句から利用者の要求に対してもっともらしい文章を出力するに過ぎません。原則として、情報の正しさは然るべき文献や情報源で自ら確認、担保してください。生成系AIによる出力を鵜呑みにしないことが大切です。

 以上、4項目を示しました。生成系AIのような新しい技術を広く社会に有益なものとして育て上げられるかどうかは私たち自身に委ねられています。
 学生のみなさんは、学術倫理的視点、法的視点、社会的視点等において、生成系AI利活用の問題点を充分に考慮しつつ、適切に利用してください。