東北学院大学

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増井優哉さん(卒業生)と石川雅美教授(環境建設工学科)が「土木学会東北支部技術開発賞」を受賞しました

2023年06月19日

 土木学会東北支部の総会が5月25日に行われ、2020年当時工学研究科に在籍していた増井優哉さん(環境建設工学専攻)と環境建設工学科の石川雅美教授による研究が、令和2年度「土木学会東北支部技術開発賞」を受賞しました。総会での表彰はこれまで毎年行われていましたが、一昨年と昨年の3月に起きた地震で学会が被害調査に追われ、またコロナ禍の影響もあり20年度から昨年度までが延期に。今回、これまでの分も合わせて表彰が行われました。

 受賞した2人の研究テーマは「東北のコンクリート構造物を対象とした初期ひび割れ発生確率図の提案」で、コンクリート構造物の施工時に発生するひび割れの確率を、地域の特性を考慮し検討しました。
 大型のコンクリート構造物を施工する際、材料のセメントと水が反応して熱が発生し、これが冷え固まる過程で起こる収縮が原因でひび割れが出ます。このときコンクリート内部には「初期応力」と呼ばれる力が生じており、初期応力とコンクリートの強度の関係について土木学会では「ひび割れ発生確率図」としてまとめていますが、データは全国の平均的なもので、地域によって実際の数値と差があることが経験的に知られていました。
 そこで増井さんと石川教授は今回の研究で、東北地方の気候や材料の性質を考慮して東北版の「ひび割れ発生確率図」を作成。東日本大震災の復興時に建設された三陸自動車道など、東北地方で施工された46の構造物のひび割れ調査の結果を基に研究を行い、東北地方の実状に合ったひび割れ発生確率図を示したことが高く評価されました。

 増井さんは大学院修了後土木設計会社に就職し、現在は広島支店に勤務。2018年に発生した広島豪雨災害からの復興事業に当たっているそうで、今回の受賞を受け「このような立派な賞をいただくことがなかったので、率直にうれしく思います。今回の研究成果が、今後の土木業界内で役に立つことを願っています」とコメントを寄せてくれました。
 一方の石川教授は現在、今回の研究を踏まえて他大学と連携しながら、土木学会による全国版の「ひび割れ発生確率図」の見直し作業を進めており、これによってひび割れ予測の精度が現行より高まることが期待されています。

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