【心理行動科学科】emol社、兵庫医科大学との共同研究で疾患啓発アプリをリリース
2024年07月23日
心理行動科学科の金井嘉宏教授が開発に関わった、社交不安症の疾患啓発を目的とした無料アプリ「フアシル-S 人見知りを乗りこえよう」が、本学とemol(エモル)株式会社、兵庫医科大学との共同研究により開発、リリースされました。
社交不安症とは、人に見られている場面や注目が集まる状況で何かをすることに強い不安や恐怖を感じる精神疾患。身近な例としては、人前で話したり食事をしたりするような場面で「失敗したらどうしよう」「恥をかくのでは」という不安感から緊張状態が高まり、赤面、動悸、汗を大量にかく、声や手が震えるなどの身体症状に現れます。またそのような「不安な場面」を避けようとすることで学校や仕事、生活上での支障が出やすく、悪化すると人に対する恐怖感から学校や職場に行けなくなり、不登校や引きこもりなどの原因になることもあるとか。さらにこのような症状は性格の問題と思われ放置されるケースが多く、自分を責めることや自己肯定感の低下など抑うつ状態が高まり、うつ病へ発展することもあるそうです。
心理療法の一つ、認知行動療法が専門の金井教授は、以前に社交不安症の診療ガイドラインの作成にも携わっていました。今回の研究には、その際一緒に活動していた兵庫医科大学の山田恒講師(精神科神経科学)から声をかけられ参加。研究の中で金井教授は、症状の心理学的な理解や認知行動療法の実践方法について助言を行ったほか、アプリで使用されるイラストや動画の監修もしました。
emol社はアプリの今後について「社会の中で精神疾患に対する理解が進み、早期に発見し早期の受診に繋げていくことで重症化の予防に寄与することを目指す」としており、本学での研究が患者のQOL(生活の質)改善に役立つことが期待されます。
【金井教授のコメント】
人前でのスピーチや他者と会話する場面で強い緊張や不安を感じ、困っている方々に有用なアプリです。マンガ、動画などを用いながら、キャラクターのロクのガイドで認知行動療法の基本的発想と実践を学ぶことができます。「性格の問題だから変えられない」と思われがちな対人不安の状態は変えることができる、ということを多くの方々に体験いただければ幸いです。
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