東北学院大学

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2017年03月27日

私立大学研究ブランディング事業シンポジウム「東北学院大学のステンドグラス」を開催

 3月18日(土)、私立大学研究ブランディング事業シンポジウム『東北学院のステンドグラス ― 19世紀の中世復興と物質文化 ― 』を本学の「押川記念ホール」において開催した。国内の複数の研究者と共に、19世紀のステンドグラスを専門とするイギリス・リンカーン大学のJim Cheshire准教授をお招きした。シンポジウムでは、東北学院のステンドグラスをめぐって活発な議論が交わされた。

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 松本宣郎学長による挨拶の後、学習院大学の高橋裕子教授による講演「前置き:ヴィクトリア朝美術とは」では、ヴィクトリア朝美術の概説をして頂いた。次にJim Cheshire准教授の「中世復興と19世紀イギリスのステンドグラス(Medievalism and Stained Glass in Nineteenth-Century Britain)」では、19世紀イギリスのステンドグラスについて詳しく紹介して頂いた。今回、Cheshire先生は、来日直前にロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(Victoria and Albert Museum)に立ち寄り、そこでヒートン・バトラー&バイン工房のステンドグラスの1932年のカタログ(商品見本)を見つけて下さった。そのカタログには本学の昇天ステンドグラスの構図とほぼ同じ図版が掲載されていた。以前から、1855年のカタログの存在が知られていたが、1932年のカタログは新発見ということで、我々の今後の研究のためにも重要な素材を与えて頂いた。Cheshire氏によれば、19世紀に復興したステンドグラスには、個人の肖像画を取り組むところが特徴であることが示され、あくまで近代の人間中心の産物であることに注意が向けられた。前半部の最後、東北学院大学の鐸木道剛教授は「オリジナリティとコピー:中世の価値」と題し、芸術作品を通した中世の意義について解説した。

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 休憩を挟み、清泉女子大学の高野禎子教授によるコメント「ゴシックのステンドグラス:実例より」では、清泉女子大学が所蔵するステンドグラス(旧島津公爵邸)、及びフランスを中心にしたゴシックのステンドグラスの作品を紹介して頂いた。高野先生は、キリスト昇天を描いた絵画には通常、聖母マリアが登場するが、本学のステンドグラスにはマリアが描かれていないことを指摘した。そこには、プロテスタントの教義が反映しているのではないかという見解も示された。最後に九州大学の谷隆一郎名誉教授による「東方教父とビザンティンの思想伝統をめぐって:その歴史的意味」では、神学的典拠についてのコメントを加えて頂き、現代にも関わる中世復興の意味について議論した。
 長時間にわたるシンポジウムであったが、様々な角度から東北学院のステンドグラスに関する見解が語られ、キックオフ・シンポジウムに相応しい充実した内容であった。

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参考資料:Jim Cheshire准教授講演資料(PDF:301KB)

<予告> 4月12日(水)公開礼拝スタートします。

東北学院大学 私立大学研究ブランディング事業では平成29年4月より、公開大学礼拝を毎月第2水曜日の18:30~19:00まで開きます。ステンドグラスのあるラーハウザー記念東北学院礼拝堂での礼拝を皆さまに公開いたします。地域の皆さまも、どうぞご参加ください。