東北学院大学

法学部

仙台地方裁判所で裁判員裁判を傍聴してきました

2022年07月01日

 2年生 基礎演習Ⅱ「司法制度の基礎を学ぶ」 担当:三條秀夫先生


現住建造物等放火、強盗殺人、詐欺未遂事件

<公訴事実>
 被告人(40代女性)は、2020年1月、県内A市の無職男性を睡眠薬で眠らせ、その居宅に火をつけて殺害し、男性から借りた900万円余の返済を免れた。
 また、2019年9月、被告人は賃借アパートの自室に放火して不慮の火災をよそおい、家財保険金290万円余を詐取しようとした。

<被告人の認否>
 「すべて否認(無罪を主張)」

<公判日程と裁判員の構成>
(1)5月30日~8月10日まで10週間余、全29回の公判を予定
 ※公判期日は、3日ないし4日連続日程で設定
 ※開廷時間は、午後に指定された3回を除いて、多くは10:00~15:00。
(2)6名の裁判員は、男性1名(65歳前後)、女性5名(20歳代後半~30歳代前半1名、40歳代後半~50歳代3名、60歳前後1名)
 ※裁判員の年齢は(受講生の記述を含めて、すべて)印象による。明らかに有職者と推察できるのは若い女性1名のみ。
 ※なお、この内で一名の裁判員は、その後、公判中に居眠りをしていたことで被告人弁護人から解職請求され、自らの申し出により辞任するに至る(6月21日)

以上:文責 三條

 ※2022年6月7日
 第5回公判(自室放火事件:被告人側証人に対する尋問を傍聴)

 今回は裁判員制度が採用された刑事裁判の1つを傍聴した。裁判員制度では3人の裁判官に6人の裁判員が参加する。裁判員は選挙権を持つ国民から無作為に選ばれる。裁判員裁判において、裁判が長引くとその分裁判員の負担になる。その為、時間の融通が利きやすい主婦や退職した高齢者が裁判員になりやすいと云われ、それが一つの問題になっている。
 傍聴した裁判でも、60代の男性、40代の女性、30代の女性などで構成されていた。手続としては裁判員の負担を少しでも軽くするために、通常の刑事裁判よりも1度の審理時間を長く設定して短期集中的に審理できるように工夫している。
 私達が傍聴した裁判では、被告人側証人が、火災(自室放火?)が起きた日の被告人の一連の行動を証言しようとしていた。しかし、事件が起きた日から月日が経っているため(?)か、証人の証言が以前の供述をひるがえすものとなり、裁判がスムーズに進まなかった。
大学の講義で聞く事例や示される判例では、認定した事実を前提にして議論が展開されるが、実際の裁判では、生きた人間を相手にして事実を一つ一つ確認していることを目の当たりにできたことで、これまで以上に法学への関心がわいた。

(受講生K. S)

 私達が仙台地裁で傍聴した刑事裁判(裁判員裁判)では、証人が検察官から事件当時のことについて尋問[反対尋問]を受けていた。しかし、証人の当時の記憶と現在の記憶に違いがあり、検察官は記憶の違いについて何度も問いただしていた。証人が検察官からの尋問に困惑している様子が何度も見られた。このことから私は証人尋問において、証人が検察官から受ける圧力はとても重く、証人は一言一言に重大な責任を感じながら検察官の尋問に答えていることを窺うことができた。
今回傍聴した刑事裁判で証人や検察官などの裁判に対する姿勢を見て、被告人の人生に大きな影響を及ぼす判決を決める裁判の難しさを学んだ。また、裁判を傍聴したことによって、DVDやドラマからはわからない裁判の雰囲気を感じることができた。しかし、傍聴した裁判の裁判員は40代から60代の男性など比較的高齢であり、裁判員制度が国民への司法制度啓発であるという建前(※法第1条)に少々違和感を覚えた。
この裁判傍聴で学んだことを、今後の専門科目の学びに生かしていきたい。                         

(受講生 F. 中村)

※「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(平成16年 法第63号)
第1条「この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟 手続に参加することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ・・・[裁判所法・刑事訴訟法] の特則その他の必要な事項を定めるものとする。」