東北学院大学

法学部

「憲法Café」で国際法の観点からロシアによるウクライナ侵攻についてお話ししました

2022年07月26日

 こんにちは、法学部教員の松浦陽子と申します。
 去る6月19日(日)、鶴ケ谷地域九条の会が開催する憲法Caféにおいて、「国連憲章上、国連と日本ができること~ロシアによるウクライナ侵攻に関連して~」というタイトルの下、お話しさせていただきました。

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(主催団体提供)

 
 「憲法Café」という名称にあるように、通常は日本国憲法について勉強し、議論していらっしゃいます。今回は、ウクライナ危機を目の当たりにし、国際法を知らねばならないという問題意識がおありでした。この鶴ケ谷地域九条の会には、本法学部名誉教授で、刑事訴訟法を長年にわたり研究されてきた田中輝和先生が共同代表を務めていらっしゃいます。そこで、教え子の一人である私にお声がけいただいたという次第です。

 本年(2022年)2月24日、ロシアによるウクライナに対する「特別軍事作戦」が開始されました。戦闘行為はすでに5カ月経過し、戦闘下の人々の犠牲は増える一方です。報道では、ロシアによる軍事行為が度々報告され、困難な状況に置かれたウクライナの人々の映像が流れます。

 こうした状況において、私のお話しは、①主権国家による諸行為を法的に判断するための基準である「国際法」の重要性を指摘し、公平に法を適用することが法秩序を維持するのに不可欠だということ、さらに、②国連安全保障理事会が「麻痺」しているとしても、その他の国連諸機関がウクライナ危機において人々を助けるために活動している現状をお伝えしました。日本は、そして我々は、それらに協力することが可能なのです。

 国際法は、現状において、直接、軍事行動を止める手立てを持ちません。他方で、その手立てを持たないことが、容易に世界大の戦争に至ることを防止しているという一面も否定できません。もどかしさを感じられることは多いと思いますが、このような時こそ、法という客観的基準を想起し、冷徹で公平な法適用という基本に立ち返る必要があるのではないでしょうか。

 ご参加くださった皆様、ウクライナ危機の一日も早い終結を祈り、活発な議論をしてくださったことに感謝申し上げます。

 このブログを読んでくださった皆様、ウクライナ危機について各種講演会や勉強会が開催されています。もし機会がありましたら、このような会に参加し、勉強してみてはいかがでしょうか。

 *この時のご報告は、鶴ケ谷地域九条の会の会報である『万羽鶴』第45号に掲載いただく予定です。

法学部教員 松浦 陽子