東北学院大学

新着情報

東北学院大学・福島県新地町共催公開シンポジウム「歴史としての東日本大震災 in 新地 PART2」 開催報告

2014年01月14日

140114-1_01.jpg

 12月14日、福島県新地町「農村環境改善センター」において、東北学院大学・新地町共催公開シンポジウム「歴史としての東日本大震災 in 新地 PART2」が行われました。福島県浜通りの歴史と文化を考える連続シンポジウムとして、昨年度にひき続く二回目の開催となります。

140114-1_02_1.jpg 140114-1_03.jpg 140114-1_04_1.jpg

 はじめに本学歴史学科の菊池慶子教授から趣旨説明があり、第一部として三人の方々の講演が行われました。まず本学歴史学科の辻秀人教授が、「大地に刻まれた災害の歴史と考古学」と題し、東日本大震災における福島県の文化財の被災状況と、考古遺構からわかる歴史災害の事例、宮城県から福島県の沿岸部に残る縄文・弥生・貞観年間・慶長年間の津波痕跡などについて解説されました。つづいて相馬市史調査執筆員の佐々木秀之さんが、「近現代福島県浜通り塩業史と発電所立地」と題して、太平洋戦争末期、塩の増産という国策に沿って設立された相馬塩業株式会社を紹介し、また昭和30年代の塩業政策を経て、福島県浜通りにおける塩業用地が発電所施設の建設用地へ転換していく状況を報告されました。最後に、震災前まで新地町で旅館を営んでいた村上美保子さんが、新地町における津波被災の体験を語られ、さらに助け合いの心に復興をかさね合わせた新地町の民話「豆名月」と、沖出しにより漁船は守ることができたものの家族を失ってしまった漁師の話「命の次に大切なもの」、の二編の紙芝居を披露してくださいました。

140114-1_05.jpg

 第二部のシンポジウム「ふるさとの復興と歴史学」は、講演された三名の方々に本学の岩本由輝名誉教授と新地町教育委員会の佐藤祐太さんが加わり、菊池慶子教授の司会で進められました。フロアからも貴重な意見が出され、復興事業の中で文化財をどのように保存・活用していくべきか、また新地町の再開発のあり方について議論が重ねられました。その上で歴史学・考古学の役割として、この震災後の状況の中で地域の歴史をあらためてしっかりと考察することや、歴史的な認識にたって震災をどのように記録化していくかなどの論点が確認され、シンポジウムは無事閉会しました。

【関連記事】
 ○【特別企画】 震災の語りを聞く会 ―あの日から今日、そしてこれから―
 ○『震災の語りを聞く会 ―あの日から今日、そしてこれから― 』開催