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【経済学科】白井ゼミのチームが「日本学生経済ゼミナール大会」本選で最優秀賞

2022年12月21日

 経済学科の白井大地ゼミに所属する岩倉朱里さん(3年)、鈴木満理奈さん(同)のチームが、12月11日に滋賀大学彦根キャンパスで行われた「第68回日本学生経済ゼミナール大会」(日本学生経済ゼミナール主催)のプレゼンテーション部門で最優秀賞を受賞しました。本学学生の最優秀賞受賞は昨年の篠崎ゼミ(経済学科)に続き2年連続で、2019年の倉田ゼミ(同)と合わせて3回目です。
 この大会は全国の経済・経営・商学部の学生を対象とした学術大会で、例年の参加者数が1500人以上と国内でも最大級の規模です。討論部門とプレゼンテーション部門の2部門があり、今年のプレゼンテーション部門では、エントリーした203チームのうち予選会を勝ち抜いた19チームが3つの分科会に分かれて本選に進み、各分科会で最優秀賞が選ばれました。

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 岩倉さんと鈴木さんは、地方銀行の事業多角化が実際に業績の改善につながるかを検証。10月に行われた予選会での発表内容からさらに分析を深め、業績の改善には経営者層の生産性などマネジメントの改善が必要であるという提言を盛り込みました。研究開始当初からの分析に当たっては過去5年にわたる全国の地方銀行79行分のデータを一つ一つ収集するなど、地道な取り組みが好結果に結び付きました。本選に向けたプレゼンテーションの練習も時間を見つけて毎日2、3回したほか、本番直前まで抑揚のつけ方や動きなどを確認し、岩倉さんいわく当日は「今までで一番良いプレゼン」だったそう。また、審査員の質疑応答には「事前の発表練習でゼミ生から寄せられた質問がとても役に立ちました」という2人。仲間たちの協力も強く後押ししてくれました。

 今回の受賞を受けて「夏までに分析方法を勉強することや予選会から本選までの1か月など、間に合わないのではという焦りが常にありました」(岩倉さん)、「結果を残さなければ、というプレッシャーや不安だらけでした」(鈴木さん)と振り返る2人ですが、岩倉さんは「色々と苦労しながらも本番まで何とか間に合わせることができ、自分の中ではやり切ったという実感があります」と充実感をのぞかせていました。一方の鈴木さんは「質疑応答で上手く対応できず終了後は少し落ち込んでいただけに、最優秀賞で名前が呼ばれた時はとてもうれしかったです」と受賞時の喜びを満面の笑顔で語ってくれました。

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「本番では悔いのない発表ができました」と話す岩倉さん
 
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受賞時の喜びを笑顔で振り返る鈴木さん


【テーマ】
地方銀行の多角化による銀行のパフォーマンスへの影響

【研究要旨】
 地方銀行では少子高齢化による人口減少、マイナス金利政策の影響から業績の低迷が続いています。こうした中、銀行業の業務範囲規制緩和によって本業の貸出業務以外の事業多角化が進んでいます。今回の研究では、日本の地方銀行がかつてないほど厳しい経営環境にある中、政府が推進している地方銀行の多角化は業績の改善に貢献するかを、因果推論の手法のひとつである傾向スコアマッチング法を使って検証しました。分析の結果、多角化は総資産利益率(ROA)に対して負の影響を与えることが分かりました。背景には業績悪化に伴う銀行員数の減少による専門的知識を持つ人材の不足があります。研究では、このような中で多角化を行い新たな子会社を設立しても、人的リソースが限られているために経営が非効率になりやすいと考えました。また分析結果から、業績の改善には取締役会の機能強化を通じたマネジメントの改善や、本業の融資業務の強化の必要性が示唆されます。

【指導教員のコメント】
 日本の地方銀行の多角化に関して因果推論の手法を用いて検証した研究は、他には見られない学術的にも意義が大きい研究です。高度な分析手法に悪戦苦闘しながらも分析結果をまとめ上げ、プレゼンテーションは長時間かけて周到に準備を重ね、何十回も練習をした成果が評価されて本当に良かったです。同級生同士の切磋琢磨、学内での共同ゼミ、上級生、OBOGとたくさんの方々に支えていただきました。

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【関連リンク】【経済学科】白井ゼミ、篠崎ゼミの学生チームが「日本学生経済ゼミナール大会」予選会で入賞