【工学研究科】電子工学専攻の森裕一さん、畑中辰汰朗さんに学長表彰
2024年02月14日
2月9日、土樋キャンパスで学長表彰授与式が行われ、大学院工学研究科電子工学専攻で磁性材料研究室に所属する森裕一さん(博士後期課程1年)と畑中辰汰朗さん(博士前期課程2年)に、大西晴樹学長から表彰状と記念品が贈られました。
森さんは昨年8月にインドネシアで開催された「アジア磁性連合国際会議」で、サマリウム鉄コバルト化合物を加工した薄膜の保磁力向上に関する研究についてポスター発表を行い、最優秀ポスター賞を受賞しました。これまでもさまざまな学会でポスターや論文を発表して優秀な成績を収めており、学長表彰を受けるのは昨年7月と12月に続き3回目。森さんは「日々研究を積み重ねていった成果が評価されていると感じられ、うれしいです」と顔をほころばせました。
一方の畑中さんは、昨年9月に富山県で開催された「第173回日本金属学会秋季講演大会」でポスター発表を行い、優秀ポスター賞を受賞しました。薄膜の保磁力向上を目指す点では森さんと同じ研究内容ですが、薄膜にナノメートルレベルの精密な加工を施し、人工的に材料の構造を制御して保磁力を高めようとする点は畑中さん独自のもの。一般的にも珍しい研究で、聴講者に説明するのに苦労したそう。「受賞できると思っていませんでしたが、何度か学会を経験していたので、質問に対する受け答えも多少は慣れたと感じていました」と振り返りました。
2人の研究はともに、ハイブリッドカーや電気自動車のモーターで使用される永久磁石に関するもの。現在モーターに使用されているネオジム磁石には、性能維持のためにジスプロシウム(Dy)と呼ばれるレアアースが欠かせませんが、Dyは特定の国からの輸入依存度が高く資源リスクが懸念されています。2人が研究で目指すのは、安定的に供給される材料を使いネオジム磁石より磁気特性が優れた新たな磁石材料の開発。実用化されれば近年叫ばれているカーボンニュートラル社会の実現に寄与することも期待されます。
授与式後の懇談で大西学長は、本学で先端研究が行われていることを評価しつつ「論文は発表されると世界中で誰かが必ず見ていて、公共のものとなる。これからも海外での発表に意欲的に取り組んでほしい」と激励しました。
森さんは現在、今年6月にイタリアで開催される国際学会での発表を目指しさらに研究を進めているそうで、今後については「別の方法も探りながら研究をさらに進めて、将来は研究者を目指します」と話しました。畑中さんは4月に電気部品メーカーへの就職が決まっており、研究開発に携わるそうです。大学での研究を続けられるかは未知数ですが「大学では研究のしかただけでなく関連して必要な英語やプレゼン力も学んだので、それを活かしたいです」と語り、本学での学びを社会で活かすことに意欲を見せていました。
○アジア磁性連合国際会議で最優秀ポスター賞を受賞
大学院工学研究科電子工学専攻 森 裕一さん(博士後期課程1年)
発表テーマ:Enhancement of coercivity in anisotropic Sm(Fe,Co)12-B thin films through the appropriate grain boundary diffusion process with Al element(アルミニウム元素を有する最適な粒界拡散法によるSm(Fe,Co)12-B薄膜の保磁力の向上)
○第173回日本金属瓦解秋季講演大会で優秀ポスター賞を受賞
大学院工学研究科電子工学専攻 畑中 辰汰朗さん(博士前期課程2年)
発表テーマ:Sm(Fe-Co)正方形ドット配列パターンの高保磁力化
【関連リンク】
夢を追う若き研究者たち(森さんの紹介;大学院工学研究科HP)