センター概要 教養教育センターの特色 2023年度の新学部学科設置・キャンパス移転と同時に、東北学院大学では教養教育の新たなカリキュラムが始まっています。本学は1886年の仙台神学校の開設以来、「福音主義キリスト教に基づく個人の尊厳の重視と人格の完成」という建学の精神のもとで教養教育を重視してきました。この伝統に立脚し、情報化、国際化する社会の中で求められる能力を養成するため、文系・理系、学部・学科を問わず、全ての東北学院大学生に開かれた新たな全学共通の科目を開講しています。 教養教育を根幹に、専門教育への学びの枝葉を広げる 東北学院大学の教養教育では、「TGベーシック」を含む「教養教育科目」「外国語科目」「保健体育科目」などを通じて、社会生活に欠かせない「基礎的・汎用的能力」を修得します。その上で、それぞれの専門的学問に対し、より深く多角的で高度なアプローチを実現します。 「TGベーシック」の進化 本学の特色である「TGベーシック」は、教養教育の基盤です。2013年度から「TGベーシック」科目群を導入し、教養型私立総合大学としての礎を強固なものとしてきました。全学部の学生が本学で学んだ“証”として身に付けておくべき幅広い知識と技能であり、本学卒業生に対する社会からの高い評価にもつながっています。 その「TGベーシック」を、激変する社会により一層求められる「学士力」や「社会人基礎力」の獲得に向けて、2023年度に一部改訂しました。「学士力」はコミュニケーションスキルや論理的思考力、情報リテラシー、問題解決能力などを指し、「社会人基礎力」は主体性や実行力、課題発見力、発信力、柔軟性などを指します。社会が複雑化・高度化する中で、在学中にこれらの能力の土台を育む必要性が高まっています。 例えば、「人間的基礎」科目群の『よき社会生活のためにA・B・C』では、より良い社会生活、健やかな学生生活を送るために必要な知識を身に付けます。「知的基礎」科目群の『情報リテラシー』は全学必修とし、社会に出てから必要とされるAI・データサイエンスの基礎的な知識と技能を修得します。また、「課題探究」科目群の『課題探究演習』ではそれぞれの授業で取り扱う課題ごとに学生自らがテーマ設定し、調査を行い、発表・ディベートを行うことなどで、課題発見能力と問題解決能力が培われます。 「共通教養科目」で視野を広げる 1年次に履修する共通教養科目では、所属する学部の専門課程以外の領域の基礎を学ぶことができます。人文系・社会系・自然系の3つの系統の専門基礎の学びを通して学問的な視野を広げることで、専門科目のみならず、社会に出てからも物事により深く多角的で高度なアプローチを行う能力を育成します。さらに、従来の学問領域となる文学、歴史学、文化人類学、社会学、経済学などの枠にとらわれることなく、グローバル化や社会的価値観の変化に伴い、『言語論』『ジェンダー論』などの新たな科目も2023年度に導入しています。 「外国語科目」でグローバル化に対応 「TGベーシック」とともに、これまで本学の教養教育の中核とされてきたのが「英語教育」です。グローバル化が進展する中、戦後に開設された東北学院専門学校の英文科の伝統を受け継ぐ本学では、質の高い英語教育を実施してきました。この英語教育センターを2023年度から「外国語教育センター」へと発展させ、英語のほか、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国・朝鮮語を学ぶすべての学部の学生を広くサポートします。英語が苦手な学生は、外国語科目『ベーシック英語』や、英語学習サポートシステム「えいごりらうんじ」で英語基礎力を身に付けることができます。一方、いずれの外国語にも3年次までの科目を用意し、より高度な学びを提供します。すべての学生が語学力を伸ばして社会生活で活かせるよう、学習する環境を整えています。 PICK UP ! カリキュラム 聖書を学ぶ(1年次) 世界の人口の約三分の一はキリスト教徒です。そのため、グローバル社会で生きるためには聖書に関する知識は不可欠です。また、聖書を学ぶことは、東北学院の建学の精神を理解することでもあります。聖書には何が書かれているのか、どのような背景があるのか。『聖書を学ぶ』では、聖書に関する基本的な事柄を学びます。 身のまわりのものから聖書の世界を読み解く 国際学部 国際教養学科 1年 渡部 結実さん(宮城県/泉館山高等学校出身) 聖書は、一般的に少し難しい内容だと思います。この講義では、聖書の世界を私たちの身のまわりにあるものに当てはめながら教えてくれるので、とても分かりやすく、キリスト教の知識がない人でも理解を深めることができます。例えば、「聖なるものとの出合い」という一節について、みんながよく知るアニメ映画のワンシーンに置き換えることで、とても分かりやすくなりました。現代の社会問題や最先端の科学技術など、幅広い分野とも聖書をつなげてくれるので、世の中の動きにも関心が向くようになりました。聖書を通じて多角的な視野や物事の捉え方が育まれていると感じます。 ジェンダー論(1年次) 私たちの生きる社会において、ジェンダーの視点はますます重要で必要なものとなっています。本講義では、「性的多様性と文学」「AIとジェンダー」「生殖技術とジェンダー」「ルッキズムと〈変態〉」といった領域横断的な主題から、現代社会と文化におけるジェンダーの諸問題を学び、広い視野でジェンダー研究の意義を理解することをめざしています。 映画や文学作品を通じて新たな視点と気付きを得る 人間科学部 心理行動科学科 1年 伊藤 花音さん(福島県/郡山高等学校出身) これまでは、ジェンダーとはLGBTQ+に関することだと思っていましたが、本来はフェミニズムやセクシュアリティといった性をめぐる諸問題を含めた広い意味で捉える概念であることを学びました。講義では、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』や夏目漱石の『こころ』など、私たちがよく知る文学作品や映画を取り上げ、ジェンダーやセクシュアリティの側面から学んでいます。異性愛が普通、という認識がいまだ根強い社会において、性規範や性的欲望に着目しながら古典作品を読み返すことで、ジェンダーや性に対する私たちの固定観念が作品の読み方に強く影響していたことに気付かされます。「当たり前」だと思っていたことが、実はそうではない、という物事の新鮮な見方を学んでいます。