田島 卓 准教授 何のために生きるのか? 旧約聖書が私たちにもたらすもの 旧約聖書には信仰の書物の他に、戦争や国家の滅亡などの危機を書き伝える書物という側面があります。つまり、大きな混乱と危機の中で人々の命を支えてきた言葉なのです。私たちに、聖書が何を教えてくれるかについて研究しています。 実は、私は高校3年まで理系クラスにいましたが、受験を前に自分が生きる意味を考えたことがきっかけで現在の道に進みました。考えてみれば、誰しも何か譲れないものを抱えて生きています。そんな究極的な価値観について問うのがこの学問です。 主要研究分野:旧約聖書学、倫理学 担当科目:旧約聖書概説Ⅰ・Ⅱ、旧約聖書神学Ⅰ・Ⅱ 他 研究テーマ 旧約聖書学、倫理学、宗教学 研究トピック 旧約聖書の哲学的解釈 旧約聖書の解釈は、当時の歴史的背景について、考古学などの成果を活かし、文書の成立過程や当時の意味を分析する歴史学的アプローチと、聖書の最終形態の文学的意味を分析する文芸批評的アプローチの二つがあります。どちらも重要な分析方法ですが、どちらかだけに偏ると、現代の読者や現代社会にとっての意義を失ったり、逆に読者の勝手な思い込みに陥る危険があります。両方のアプローチを視野に収めることが必要ですが、そうした上で、現代という時代を問い直しつつ、神や宗教、人間の生について考えています。 一方、旧約聖書には、戦争や強制連行、危機の時代を生き残って書き継がれてきた文書という側面もあります。言い換えれば、旧約聖書は、無念にも死んでしまった人たち、苦しみの記憶、あるいは和解や再生という問いを、神への問いかけや神との対話という形で文書化している書物でもあります。つまり、旧約聖書は、特定の宗教の正典としての価値のほかに、普遍的に人間が直面せざるをえない問題を取り扱った文書群でもあり、旧約聖書を通して、これらの問題の本質を考えることを目指しています。 田島ゼミの卒業論文タイトル例 「サウルに求められた「理想的な王の姿」とは」 「雅歌は正典に入っているべき書物か」 「物語論の宗教教育への応用-アブラハム物語を事例として」 「パンドラ神話」から読み取る女性蔑視の要素について 最近の著作 「証言としての旧約聖書」『福音と世界』2024年5月号から連載中。 『エレミヤ書における罪責・復讐・赦免』日本キリスト教団出版局、2018年。 「イザヤ書53章における『アーシャーム』の理解」「東北学院大学キリスト教文化研究所紀要」第39号、2021年。 「世界のための隔たり——ブーバーにおける原離隔概念」『京都ユダヤ思想』第7号(2)「特集号 マルティン・ブーバー:対話思想のこだま」2019年。 「哀歌の哲学的理解に向けて」『倫理学紀要』 第25輯(東京大学)、2018年。 詳細はresearchmapをご覧ください。