講義・ゼミ紹介 導入的専門科目 総合人文学の基礎Ⅰ 1年生前期の必修科目で、総合人文学科での学びの可能性と魅力について、「思想哲学」「文化芸術」「宗教神学」の各分野の担当教員がそれぞれの専門に基づいてオムニバス形式で入門的な講義をします。総合人文学科での学びの土台となる授業で、以後の履修科目やゼミ、卒論のテーマの選択につながってゆきます。 思想哲学分野 ギリシア・ローマの思想と哲学 この授業では西洋思想の源流である古代哲学を学びます。授業の前半では、古代ギリシアの代表的な三人の哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスを取り上げ、後半ではヘレニズム・ローマ時代のストア派やエピクロス派等の哲学を取り上げます。授業での学びを通して、普遍的な真理はあるのか、人間はいかにして幸福になれるのか等の問題を考察します。 日本の思想と哲学 この授業では、仏教、儒教、神道、キリスト教、武士道、近代哲学など、日本の思想と哲学を総合的に学びます。日本の思想は、仏教、儒教、神道、キリスト教、武士道、近代哲学など、様々な思想潮流が相互に連関して形成されてきました。現代では、そうした思想が本来の思想内容を喪失して形骸化し、断片的な言説となって人々の思考や行動を無自覚に拘束しています。この授業では、日本で展開された様々な思想潮流をあらためて学び直すことで、自分自身の生き方を考える思想的な土台を形成してゆきます。 生命の倫理 近年の生命科学・医療技術の発達は様々な可能性を広げるとともに、体外授精・代理出産・出生前診断・安楽死・臓器移植など、私たちが深く考えるべき新たな倫理的課題を提示しています。この授業では、これらの現代的な生命倫理の問題を取り上げ、複数の観点からの意見を考慮しつつ、倫理学的な観点から検討していきます。 文化芸術分野 キリスト教と音楽 西洋の音楽は、キリスト教とその音楽に源流を求めることができます。「ドレミ」の音階を始め、私たちが日常接している音楽は、キリスト教と深く関わりながら形成されてきました。中世から現代のキリスト教音楽を鑑賞するとともに、世界のキリスト教音楽から多様な文化の理解、多文化共生を考えることも、この授業の目的です。キリスト教音楽を通して、なぜキリスト教は音楽を大切にしているのか、音楽にはどのような役割があるのかを理解し、キリスト教音楽・宗教音楽とは何かを定義します。そして文化,社会におけるキリスト教とその音楽の意義を考察します。 キリスト教と美術 この授業では、『聖書』の中でも「新約聖書」を主題とした美術作品(主に絵画)を取り上げ、『聖書』の記述と照らし合わせながら見ていきます。宗教美術のイメージは、そのイメージが成立した時代や社会における『聖書』の該当箇所の解釈の一つの具体例と考えることができます。これにより、いかに時代に応じて『聖書』が解釈されてきたかを考察していきます。 日本文化論 百人一首の和歌に僧侶の恋の歌が多く収録されているように、日本の文化において、「恋」は独自の意義を担っており、近代以降の「恋愛」の概念にも影響を及ぼしています。この授業では、「日本文化における「恋」の伝統と変容」をテーマに、日本文学に描かれた「恋」を古代から近代までたどることで、その特質と変容を理解し、今あるべき「愛」のあり方を考えるための基盤を形成してゆきます。 宗教神学分野 旧約聖書概説Ⅰ この授業では、旧約聖書に記される天地創造、楽園追放、ノア物語などの主要な場面について、テクストに基づいて、解釈の妥当性を議論し、旧約聖書研究を行うにあたって必要となる様々な基本事項を習得します。まずは、旧約聖書原典の言語と構成や歴史的形成過程などについて、正確な知識を身に着けた上で、旧約聖書がどのような思想的問題を投げ掛けているのか考察してゆきます。 新約聖書概説Ⅰ 世界でもっとも読まれている書物、聖書とはいったい何か。この授業ではこの問いを中心に置きつつ、新約聖書の各文書を概観することを目的とします。聖書には、現代の人間にとっても重要な多くの教えが隠されています。初めに宗教全般について、新約聖書の歴史的背景を学び、イエスの活動を踏まえて、イエスの伝承の発生から各福音書の成立事情とその特徴を学びます。各文書の特徴を踏まえ、その相違点を見つけ、新約聖書の多様性を理解してゆきます。 宗教学Ⅰ この授業では、「日本の新宗教とカルト宗教の諸相」をテーマに、幕末維新期から現代までの日本の宗教、とくに新宗教と呼ばれる諸団体の沿革と教義、活動の特徴について、またその中で社会問題化し「カルト」と一般に呼ばれる団体の教義と歴史、問題点と課題について学びます。この授業を通じて、新宗教やカルト問題に関する基礎的な概念を習得し、多様な宗教現象を宗教学的に分析できる力を養います。