東北学院大学

文学部 歴史学科

教員紹介

教員プロフィール

大出 尚子 准教授(中国近代史)

研究テーマ

清朝末期・中華民国期・「満洲国」期の中国東北博物館史。近年は、清朝皇室財産の処遇について研究を進めている。

研究トピック
宮殿から博物館へー瀋陽故宮博物院前史

2025年は北京故宮博物院創設100周年、翌2026年は瀋陽故宮博物院の宮殿創建400周年および東三省博物館創設100周年にあたります。これら清朝時代の宮殿は、中華民国期に博物館化することで建物と収蔵品が保護されましたが、実はすでに清朝最末期には、金梁という人物が「皇室博覧館」の開設を提唱していました。金梁は、瀋陽故宮が収蔵品の破壊・略奪に晒されていたこと、さらには流出の現場に直面したことから、博覧館を開設して建物と収蔵品を保護することを繰り返し訴えました。しかし、清朝皇室には財産の管理に対する危機感が薄く、金梁の建議は受け入れられませんでした。その後、収蔵品は北京故宮に大量に移管されることで、宮殿の文化的価値は低下してしまいます。そしてようやく博物館化によって瀋陽故宮が保護されたのが、1926年だったのです。

最近の著作
  • 『「満洲国」博物館事業の研究』汲古書院、2014年
  • 「中国近代史における盛京三陵管理問題と溥儀」『東洋学報』104(4)、2023年
  • 「「満洲国」における皇産整理と日本の皇室財産制度─1937年の福陵・昭陵内樹木管理問題を事例に─」『社会文化史学会』68、2024年