経済学部長佐藤 康仁 経済学部で学ぶみなさんへ 今日、私たちが生活する社会には、世界的な経済格差の拡大や貧困の深刻化、経済対立の激化や国家間の摩擦、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による経済・社会への影響など、さまざまな課題があります。経済学は、これらの課題の解決に向けて、多くの有益な知識や考え方を提供してくれます。 経済学と聞いて、みなさんはどのような学問を想像されますか。経済=お金だから、経済学はお金について考える学問、あるいはお金儲けの方法を学ぶ学問を想像されるかもしれません。経済学がお金について考える学問であるというのは必ずしも間違いではありませんが、経済学が対象とするのはお金に関することに限りません。経済学を定義づけるのはとても難しいのですが、最近の経済学の代表的な教科書では、経済学を「人々の選択に関する学問」と定義しています。経済学は、人々が希少資源の配分をどのような選択をするか、そして、その選択がどのように社会に影響するかを研究します。つまり私たちのあらゆる行動(選択)が経済学の対象になります。したがって、経済学の適用範囲は経済成長、景気、金融危機、経済格差の拡大といったいわゆる経済問題に限らず、教育、健康、人口、環境など、私たちの生活に関係する幅広い分野がその対象になります。また、経済学は選択の結果どうなるか、という事実解明的な問いだけでなく、選択の結果が良いか、悪いか、という規範的な問いにも有用であり、公共政策の立案、評価にも貢献することができます。 本学の経済学部には経済学科と共生社会経済学科の2つの学科があります。経済学科、共生社会経済学科のいずれの学科でも、キリスト教精神と幅広い教養教育を基礎に、経済学の専門的知識を修得し、経済学科では「時代に流されず、先を見通す経済社会の理論とスキルを身に付け、多方面において社会に貢献できる人材」を養成します。共生社会経済学科では「多様な他者への理解を深め、共に生きる発想に基づいて、新たな社会経済システムを構想し実践できるような人材」の育成を目指します。なお、共生社会経済学科は2023年4月から学生募集を停止しましたが、現在、共生社会経済学科に在籍されているみなさんが卒業するまで教育環境は維持されますし、学生生活および進路・就職支援等についても教職員一同責任を果たして参りますので、安心して学んでいただければと思います。 経済学部の教育課程(カリキュラム)は教養教育科目、外国語科目、専門教育科目が体系的に提供され、幅広い教養を身につけ、経済学の基礎理論から応用へ、そして現実の経済問題や政策について段階的に学ぶことができるものになっています。また、全学年に少人数で行う演習科目が配置されており、経済学部に入学されたみなさんの知的関心に合致した高度で専門的な学びと研究ができるようになっています。経済学部での学びの成果は、全国規模の研究大会や懸賞論文等で、経済学部所属の学生が毎年、優秀な成績を収めるなどの形で示されています。 経済学部では、優れた研究業績と豊富な教育研究経験をもつ学部専任教員が、みなさんの学びへの道案内を懇切丁寧に行います。大学では、自ら積極的に学ぶ姿勢がなければ、得られるものは決して多くはありません。経済学部で過ごす大学4年間が実り豊かな学生生活となるように、みなさんには十分な履修計画を立て、自ら主体的に学ぶ姿勢を持って、何事にも積極的に取り組んでいただきたいと思います。