東北学院大学

経済学部 共生社会経済学科

2023年4月募集停止

学生募集停止する学部・学科の全ての在学生に対しては、卒業するまでは入学した学科の所属及びその教育環境を維持し、学生生活及び進路・就職支援等につきましても、教職員一同責任を果たしてまいります。

第17回「ブラック企業問題とは何か 社会の「仕組み」から考える」

2019年6月27日開催

今野 晴貴 氏

講師 今野 晴貴 氏(NPO法人POSSE代表)

労働・福祉運動家、社会学者。専門は労働社会学、労使関係論。中央大学法学部在学中に、労働相談活動を行うNPO法人POSSEを設立し、現在まで代表を務める。2013年に、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(文藝春秋・2012)で大佛次郎論壇賞を受賞。

学生へのメッセージ

日本社会には労働問題や貧困問題があふれています。非正規雇用、ブラック企業、過労死…。その上、これからはAIによる雇用減少やプラットフォーム型労働、ギグ・エコノミーが広がることで、ますます安定した職に就くことが難しくなりそうです。

だからこそ、これからの社会を生きていくうえでは、「知識」が大切になってくると思います。ただし、それは単に「いい仕事につくための情報や能力」という意味の知識ではありません。社会の仕組みや制度を理解し、自分自身でものごとを判断するための知識です。

今回の講演では、「雇われて働く」人たちがしるべき社会の仕組みや制度についてお話ししました。これからの学生生活の中で、今回の講演の内容も参考にしながら、みなさん自身でぜひ社会に対する知識・理解を深め、強く社会で生きていける力を養ってほしいと思います。

学生の感想
  • 講演を聞いて一番強く思ったことは、社会に出たら自分の身は自分で守るしかないということです。社会人を守るための権利や仕組みがあったとしても行使できなければ違法な行為も揉み消され安心して仕事をすることもできないと分かりました。
  • 今回ブラック企業の問題を聞いて、大企業でも違法行為を行っていることに驚きを感じました。単純な違法行為ではなく、グレーゾーンを狙っていること。訴え出る人が少ないこと。80時間もの残業が隠されていたことなどが挙げられる。就職活動をしていくうえで、情報を多く集めて、ブラック企業に入るリスクを少しでも下げていきたい。
  • 自己都合退職という形で辞めさせるという「選択型」と呼ばれているものがあると初めて知った。これともう1つに、基本給に残業代を含みこませていたことを採用後までに知らせないという「使い潰し型」と呼ばれるものがあることも同様に初めて学ぶことができた。
  • 今回の講演会に参加して、改めてブラック企業とは何かと考えるようになった。実際にブラック企業問題の背景や入社後のリスクとなる労務管理の戦略やブラック企業の見分け方と対処法について聞くことができ大変勉強になった。
  • 社会にとっても企業にとっても悪循環であるのに、なぜこのような労働状態が続いているのか。加えて違法行為がきっかけで辞めている人が多数であるのになぜ「自分から辞める方が悪い」というような考え方が一般化しつつあるのか。企業としての在り方をもう一度見直していくべきではないかと思う。
  • 今回の講演会の内容を忘れずに「権利を知り、行使すること」を大切に頑張っていこうと思いました。
  • 企業と労働者の利害は残念ながら対立することがある。法律を使って、自分自身のキャリアを守ることも大切な社会人としての能力である。今回の講演会はすごくためになった。今回学んだことを生かしていこうと思った。
  • 特に私が驚いたのは、大学など公的に行っている職業案内などで紹介している企業にもブラック企業が存在するということです。今野さんからこの話を聞いた時、私たちの身の回りでも当たり前のように存在してしまうことが分かりました。これから先、被害者や過労死で亡くなる人が一人でも多く減らせるように、今回の講義で学んだことを広めていきたいと思いました。
  • 大学で学ぶというのは、少なからず就職に繋がっているので、将来のためにも「ブラック企業」に関して、とても興味深かった。まず、「正社員」という言葉について大きな見落としをしていた。正社員というものに規定はなく、企業ごとに設定できるという事実は、新卒がブラック企業に入ってしまう理由の一つだと考えると、しっかりと企業について調べるべきなのだろう。次に、ブラック企業の類型についてご紹介頂いたが、衝撃的なものしかなかった。新卒をうつ病に追い込むようなカウンセリングや、辞めさせるような行為を行う企業があると聞き、学生の身でありながらやるせない気持になった。また、採用後に雇用条件が変わるというのも、新卒はどうしようもなく、やる側も気もしれない。様々な事例に共通していたが、「訴えないと問題にならない」というのも理不尽である。もはや、これは個人だけではどうしようもなく、国として、社会として取り組むべき問題だろう。
  • 私はこの講演会を聞くまでブラック企業のイメージが長時間労働をさせられるとしか思っていませんでしたが、長時間労働の他にもセクハラ、パワハラなど様々な形があることが分かった。ブラック企業と聞いても長時間労働させられるだけとしか思わなかった原因として様々な違法などがあっても公の場で公開されず、知らないところで問題が起こったことであると考える。つまり、どんな被害も訴え出なければ何の問題にもならないのだ。
    私はこの現状を聞き、ブラック企業は本当に身近に存在し、人を精神的・肉体的にも追い込み最悪の場合、死にも繋がってしまうということに驚きを隠せなかった。自分は、大学を卒業すれば就職する。そういった時に、この話を生かし、自分で企業を見分ける力、会社に入ってから活躍できる力をこの大学生活で養っていきたいと思った。
  • 今回ブラック企業についての話を聞いて1番思ったことは、自分がしっかりすることが大切だということです。契約内容を理解し、何か問題が起きた時のために様々な記録をとるなど、途中でおかしいと気付けるように、訴える時の材料を残しておけるように、自分の中で整理しておくことが重要だと感じました。訴えにくいような違法行為を行う、実際働くまで分からないような違法行為を行うなど、本当に恐ろしいと思ったし、陥れるところまで、すごく上手くできているなと思いました。ブラック企業を今までは遠く考えていたけれど、自分もこのような状況になってしまう可能性は大いにあり、怖くなりました。いざこのような状況になったときにしっかり対応できるように、知識を蓄えておく必要があると強く思いました。今回話を聞いて、ブラック企業の実際の例などから、ブラック企業の恐ろしさや仕組みを知れてよかったです。今回学んだ対処法を覚えておき、さらに今後知識を増やせたらなと思います。