東北学院大学

経済学部 共生社会経済学科

2023年4月募集停止

学生募集停止する学部・学科の全ての在学生に対しては、卒業するまでは入学した学科の所属及びその教育環境を維持し、学生生活及び進路・就職支援等につきましても、教職員一同責任を果たしてまいります。

第23回
都市の暮らし・農山村の暮らし
~ポストコロナ時代の仕事とライフスタイル~

2022年11月26日(土)開催

講師 沼尾 波子

(東洋大学国際学部教授)

慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程修了。慶應義塾大学経済学部研究助手、(財)東京市政調査会研究員等を経て2008年より日本大学経済学部教授。2017年より東洋大学国際学部国際地域学科教授。専門分野は財政学・地方財政論。

講演内容

多様性(ダイバーシティ)が尊重される時代、あなたはどんな地域でどんなふうに働き、どんなふうに暮らしていきたいですか。今回、皆さんと一緒に、ポストコロナ時代の働き方や暮らしの多様化にも目配りしつつ、これからの時代の都市と農山村の可能性について考えます。世界の人口は80億人に達し、今後、世界的に水・エネルギー・食料不足が深刻化するとの予測もあります。農山村の価値を改めて見直し、都市と農山村の連携・交流についても考えながら、皆さんが共感できる地域のカタチと、そこでの暮らし方、働き方について考えてみたいと思います。

学生へのメッセージ

日本には多様な地域があり、様々な暮らし方・働き方の選択肢があることについて考えました。私たち一人ひとり、それぞれ異なる個性を持っています。自分軸を持って、どんな場所でどんな風に暮らし、どんなふうに働きたいのかということをぜひ考えてみてください。

今回の講演のなかで「なぜ東京に住んでいるのですか」という質問をいただき、私自身も改めて考えてみました。下町にある長屋のような暮らしと近隣の付き合いのほか、機能性や利便性の高い環境に対する心地よさ、面白いアイディアや技術を持った人々と出会い、議論できる環境が魅力だと感じているようです。もっとも、デジタル化の進展もあり、素晴らしい人々との出会いのアクセスポイントを持ったワクワクする農山村も各地で出現しています。

皆さんが、いろいろな地域や仕事と接し、ご自身と一致できる「場」と「関係」を見出せるよう、お祈りしています。

学生の感想
  • 農村だからできないと私が勝手に決めつけていたことが、技術の発展や人々の工夫によって可能になる。便利で可能性が多くある印象であった都市であっても生活面で苦しい部分がある。今まで私は都市だから、農村、田舎だから、と決めつけていたところがありましたが、決めつける必要はなく、可能性はどこにでもあるし、どのように生活するかは自分次第だと思いました。
  • 印象に残ったのは、農山村は沢山の可能性がある場所だということです。私はこれまで農山村は過疎化している地域が多く、農林水産業が主な仕事だと思っていました。しかし、奈良県川上村や島根県海士町などの具体的な取り組みを聞いて、本当に選択肢がひろがってきているのだと驚きました。「自分の住んでいる場所で物が生産されているありがたみ」についてのお話がありましたが、これは自分の住む場所でも言えることなので、これからはそのありがたみを少し意識して生活していきたいです。
  • 新しい都市と農山漁村の見方について学びました。将来はもっと過ごしやすくなるということから若者の移住も増加傾向と知り都市と地方の見方が180度変わりました。
  • 自分の共感ポイントについての部分が参考になった。私も共感ポイントを自己分析に取り入れて、せっかくなら多様な働き方・暮らし方の中から自分に合っている物を選びたいと思った。
  • 人口の半分以上が三大都市圏に密集しているという数字を含めたデータはこれまで見たことがなかったので、とても驚きました。これまでより様々な視点で就活ができるようになると考えた。もう一度企業研究をやってみようと思う。町おこしの政策がとても面白く、興味をひかれた。そのため、今回は話を聴いた町以外にも様々なまちおこしの政策について調べてみようと思う。
  • 不安を煽られた気がした。その場の空間や豊かな自然、景色、コト、モノなどに思いを馳せることも「共感」であるという学びを得た。講演に参加する前は、仙台か関東、都市か農山村、どちらかに目星をつけることを目的としていたが、お話を聞かせていただいた後では、「日本ならどこでも楽しめそう!!!」と言う気持ちに変わり将来を考えることが〝苦″から〝楽″に変化した気がする。
  • 今後、日本では少子高齢化が進み、将来の社会構造が変わっていく。その中で都市と農村では、さらに多様な暮らし方や働き方が生まれていく。決して一つの場所や仕事だけに固執せずに、柔軟な考え方と広い視野を持ち、社会に向き合っていきたいと今回の講演を通して考えた。
  • 「私たちの『共感力』と『共感ポイント』」のお話が一番印象に残った。先生がおっしゃっていたように、大学3年生になって、「リクナビ」や「マイナビ」に登録し、あらゆる企業からインターンシップなどの案内が届くようになった。明確に「この企業・この業種に就きたい」というものがない私にとっては、その案内はただ私をあせらせるものであったため、本日の講演会に参加するまでは「就活」に不安や焦りを感じていた。しかし、「人と人とのつながり」を大切にするか、「程よい距離感のあるチーム・職場」といった「空間」を大切にするかなど、「業種」に着目するのではなく、「自分がどこに共感できるか」、「共感をもてる職場はどこなのか」というように、「視点」を変えて考えることが必要なのだと気付かされた。
  • 都市と農村部に対して持っていたイメージが一新された様に感じる。
  • 今回、私の中で一番印象に残ったものは、農村ごとの良さを生かして地域の復興や保全に努めていることです。小さい町や村は見てもらう機会が少なく衰退していく一方なのだと諦めていました。そのため、地元を盛り上げていくためには、郡山市で福島県自体を盛り上げることで、間接的に地元に貢献していくことが良いと感じていました。しかし、今日のお話を聴いた時に、私の視野がとても狭かったことに気づきました。自分の町と同じや、もっと人口の少ない自治体でも自分の土地の良さを最大限に生かしていこうという取組に感動しました。また、お話をずっとわくわくして聴いていました。改めて私が夢として目指してきた地方公務員のなりたい理由を気づくことができました。もっと私の知らない農村や都市の取組を見てみようと思いました。色んな場所や土地を見ることで私の地元の町の魅力や好きな所を最大限に伝えていきたいと思います。
  • 今回の講演会でたくさんの学びを得ることが出来ました。日本は、世界的に見て、地域が多種多様であること、選択肢も多様に存在していることに気づきました。私は、今まで、日本という国は選択肢が少ないと考えていました。なんとなく中学を卒業し、高校に進学し、高校に進学すると、大学に進学するか、就職するのであろうと考えていました。日本は、地域によっていろいろな多種多様な暮らしをしており、そのような一面があったのかと自分の中で日本に対する考え方が変化しました。
  • 私はもともと東京で暮らすのにあこがれていたのですが、今回の講演会によって東京に対するイメージが変わったので、事前に東京の事情を知れて良かったと思いました。自分はどういうタイプであるのか、よく考え、農村、都市の暮らしで重要なことを踏まえた上で就職活動を頑張ろうと思いました。