キリスト教関連

耶蘇基利士督我主救者新遺詔書
モリソン訳 全8冊 1813年 広東刊

最初の中国語訳「新約聖書」。ロンドン伝道会から中国へ派遣された宣教師モリソンは1807年に広東に赴き、3年後の1810年から新約聖書を中国語に翻訳する作業を始めた。翻訳は1813年に完成し『新遺詔書』が刊行された。モリソンはさらに旧約聖書を続け、『旧遺詔書』を完成して、本書の改訂版『神天聖書』とあわせて21冊本をマラッカで刊行した。
【0103A20315~20322】

約翰傳福音書 一巻
ヘボン訳(Hepburn, J.C.)
新約聖書巻之四
[横濱] [米國聖書会社] [1872] 和装本 版本

日本で最初に印刷された新約聖書の一巻。
明治5年、ヘボン・ブラウンにより木版刷りで出版された。
同年「新約聖書馬可(マルコ)傳」が、翌年には「同馬太(マタイ)傳」が出版された。
当時はまだ切支丹禁制の時代にあり、出版には大変な苦労があったようだ。
【0106A24353】

The English Bible : containing the Old Testament & the New
(「英訳聖書」全5巻 世界三大美書)
Hammersmith : Doves Pr., 1903 5 vols.

愛書家の中で定説となっている「世界三大美書」とはウィリアム・モリスのケルムスコット・プレス印行の『チョーサー著作集』、ゴブデン・サンダーソンにより創設されたダブス・プレス印行の『英訳聖書』、そしてジョン・ホインビーにより創設されたアシェンデン・プレスの『ダンテ全集』の三書で、いずれも19世紀後半から盛んになったイギリスの私家版印刷所(プライベート・プレス)からの出版。
中でもダブス・プレスは他のプライベート・プレスとは違って道徳的宗教的理想を持っており、そのことは特に初期の刊本であるこの二折版「聖書」によく表れている。
赤い装飾イニシャルはエドワード・ジョンストンとグレイリー・ヒュイットによってデザインされたもので、特に創世記の始まりのページの赤い装飾イニシャル“In the beginning”の美しさは有名である。
【0191A1168~1172】

Luther, Martin, (1483-1546)
Tomus tertius Omnium Operum Reverendi Domini
(ルター全書)
Witebergae, Typis Zachariae Lehmani, 1554-1583, 7Bd.

1554年から1583年までウィッテンベルクのヨハネス・ルフト、ツァカリアス・レーマン等の出版社から合計7巻として刊行された16世紀のルター全集。クォート版。出版当時の空押しの羊皮紙装。ルターの盟友ルーカス・クラナッハの挿絵入。
【0107A4323~4329】

Biblia Latina. [Latin Bible](レンナー印行 ラテン語聖書)
Venice, Franciscus Renner de Heilbronn, 1480

ヴェネツィアで6番目に印刷所を開設したフランシスコ・レンナーは、フランクフルト出身のニコラウスと共同で1473年から神学書の印刷を行い、1475年にイタリアで最初のラテン語聖書を刊行した。本書は、レンナーによる3度目のラテン語印行聖書で、1476年のヤンソン印行聖書を基にしたウルガタ聖書(聖ヒエロニムス訳の公認ラテン語聖書)である。頭文字の装飾が美しく、特に金色を配した5つのイニシャルは状態も良く、華やかである。見開きには、Richard Randall、George Abramsの蔵書票と共に、Augustus Frederick, Duke of Sussexのものと言われる蔵書票が貼付されている。

Biblia. [Latin Bible](コーベルガー印行 ラテン語聖書)
Norimberge, Antonii Koberger, 1487

15世紀後半、中央ヨーロッパ最大の商業都市であり、自由都市でもあったドイツ南部のニュルンベルクで、印刷業者として最も幅広い活躍をしたアントン・コーベルガーによって刊行されたラテン語聖書。聖書本文の回りを、フレンチェスコ会士、リールのニコラウスによる注解が取り囲み、また、手彩色をほどこした木版挿画も含まれ、たいへん美しいレイアウトになっている。本書は、旧約聖書の創世記から列王記までを収載している。ルターの宗教改革以前の出版であり、初期刊本やラテン語聖書に関する研究資料としても貴重なものである。

Les feuillets du Louvre et les heures de Turin disparues: Heures de Turin-Milan. Facsim. ed.
(トリノ=ミラノ時祷書. トリノ時祷書残闕)
トリノ市立美術館,ルーブル美術館所蔵 ファクシミリ版 岩波書店, 1996-1997

時祷書とは一般に、聖職者ではない世俗の信徒のための祈りの手引書であり、聖人の祝日や祭日のカレンダーなどが含まれる。本書は,美術収集家として名高いフランス王弟ベリー公ジャン1世(Jean de France, Duc de Berry, 1340-1416)が企画した彩飾写本のなかで最も美しく、最も規模の大きな『ベリー公のいとも美しき時祷書』の一部である。ジャン1世の没後分割され、主要部分が今日までパリの国立図書館とルーヴル美術館およびトリノの市立美術館に大切に保管されてきた。ヤン・ファン・エイクをはじめ当時の主要画家がこぞって参画した美術史上きわめて重要な作例とされる。

Les Belles heures du Duc de Berry.
(ベリー公のいとも美しき聖母時祷書)
パリ国立図書館所蔵 ファクシミリ版 岩波書店,2002

本書は、上記の分割された『ベリー公のいとも美しき時祷書』のうち、ミニアチュール(彩色写本の挿絵)の大部分が完成していたものをまとめたものである。ロートシルト家所有を経て1956年にパリ国立図書館に寄贈された。

The Book of Kells. (ケルズの書)
The Library of Trinity College Dublin所蔵 ファクシミリ版

豊かなケルト模様の彩色装飾が施された典礼用の福音書であり、アイルランドの国宝となっている。装飾の緻密さ、色彩の豊かさ、書体の美しさ等からケルト美術の最高峰とされている。アイルランドの修道士、聖コルンバ(Columba、あるいはアイルランド語でColm Cille)によって6世紀に設立されたアイオナ修道院で作成が開始され、その後806年にヴァイキングの襲撃から逃れるために修道士とともにアイルランドのケルズ修道院に移された。本書の完成は、この前後と考えられている。

Missale pontificis in nativitate domini.
(アレクサンデル六世 クリスマスミサ典礼書)
バチカン図書館所蔵 ファクシミリ版
岩波書店刊( Belser Verlag [reproductor])

15世紀末にアレクサンデル六世の命で制作され、今なおサン・ピエトロ大聖堂にて用いられている教皇ミサ典礼書。アレクサンデル六世(ロドリーゴ・ボルジア)はルネサンス期の世俗化した教皇の代表的存在であり、マキャヴェッリが『君主論』において理想的な君主の能力を見出したチェーザレ・ボルジアの父でもある。

A Triptych of Illuminated
Leaves on Vellum from the
Huntington Library’s Gutenberg Bible.
グーテンベルク『42行聖書』3葉 1997
【ファクシミリ版】

ヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gensfleisch zur Laden zum Gutenberg)が発明したとされる活版印刷術により、初めて印刷された聖書。1455年頃に完成された。フォリオ(二折)版上下2巻本のラテン語聖書で本文は2段組。冒頭の9ページは40行、10ページ目は41行、11ページ以降は全て42行であるため、『42行聖書』と呼ばれている。160から180 部が印刷されたと推定されており(うち4分の1程度がヴェラム版)、不完全本をあわせてヴェラム版12、紙版36の計48点が現存している。手書きによる大文字や余白の装飾および製本は,印刷後に買い手の好みにより行われたため、現存する『42行聖書』のそれぞれが個性豊かな特徴を有している。このファクシミリ版は、特に美しいとされる、ハンティントン図書館(カリフォルニア州サンマリノ)所蔵本をもとに雄松堂書店によって1997年に制作されたもので、『雅歌』(Canticum canticorum Salomonis)、『バルク書』(Prophetia Baruch)、『使徒言行録』(Actus apostolorum)の3葉が収録されている。本文ラテン語翻刻・英語版・日本語版および、トマス・V・ランゲ(Thomas V. Lange, The Huntington Library)による解説も合わせて収録されている。