東北学院大学

地域総合学部政策デザイン学科

多彩に学ぶ

(1) 学生のための講演会

2023年度
第2回 政策デザイン学科 開設記念講演会
開催日
2023年11月16日(木) 15:00~16:30
開催場所
東北学院大学土樋キャンパス 
8号館 842教室
内容
さまよう子ども若者とどう向き合うか~大学生と路上生活者が築く街角の拠点づくり~
講師 荒井 和樹 先生
(中京学院大学短期大学部健康栄養学科専任講師、NPO法人全国こども福祉センター理事長)

適切な支援と繋がらず、トーヨコやグリ下など、街やSNS上をさまよい、犯罪に巻き込まれてしまう子ども若者がいます。

本講演では、施設型支援の課題を示しながら、街角で声かけや交流活動を行う全国こども福祉センターの実践を手がかりとして、大学生や市民ボランティアが出来ることを考えます。

学生の感想
  • 様々な支援や援助を受ける上で仲介する大人たちと子どもたちで支援のミスマッチが起きているという点が印象に残った。一方的に支援するだけでなく、本質的でより効果がある支援について深く考えていく必要があると感じた。
  • 荒井先生の団体は心の痛みや苦しさをわかってくれる人がいるのだからこそ多くの人が、次は誰かのために私も!と思えるのだと感じました。(中略)出会いや関わることを大切にして、そして相手を尊重して、押しつけずに、誰かを守れる、共に生きていく環境をつくれる人になりたいと強く思いました。
  • 講演会で荒井さんのお話を聞いて、特に印象に残っていることは、支援にマイナスの面があることです。
    児童養護施設内の子どもたちの怒りの声が表に出てきておらず、支援と引き換えに管理支配的な環境に置かれてしまうことに衝撃を受けました。家出している子どもたちにも、一方的に支配するという形では押しつけになってしまい、余計子どもたちが離れていくことにも話を聞いて、その通りだなと感じました。
  • 「声をかけられた子どもが、次は『声をかける』側になる」という言葉が印象に残った。このことは、支援の輪が広がっていくことで支援の担い手を増やしていくことができるという以上に、気持ちをわかってくれる人に支援をしてもらえるという安心感を、支援される側の人に与えることができるということである。それぞれが経験した辛さは人それぞれ異なるかもしれないが、辛い経験をしたからこそ、その人に寄り添えるということがあると思う。そのことが支援される側に伝わったからこそ、活動の輪が広がっていったのではないかと感じた。
  • 特に印象に残ったのは、荒井さんが最後に話されていた「差異を解消せず、かかわり続ける」という考えである。とてもおもしろい考えだなと感じた。たしかに「支援」ばかりに気を取られてしまうと、子どもたちの気持ちや意思を無視して、大人の意見でがんじがらめにしてしまう。これでは本当の意味での支援ではなくなってしまうため、大切な考えだと思う。
  • 荒井先生の講演を聞いて、双方的な支援を作り上げていくことが必要であると考えた。支援される側の意見を聞かず、支援する側が一方的に良かれと思って物事を進めるのでは、支援される側とのミスマッチが起きることがわかった。「子ども・若者が助けを求められない理由」の第一位は「恥ずかしさ、スティグマがある」ことだそうだ。子どもの持つ恥の感情やプライドについて大人が理解しないまま形だけ「相談窓口」を設けても効果的ではないだろう。子どもたちの意見を取り入れながら双方的に支援体制を作っていくべきではないかと考えた。
  • 歓楽街での仕事は触法行為である場合もあるが、給与が高く、ひとりで生きて行けるような感覚に陥るし、金銭感覚も狂ってしまうため他の職につくことができてもまた戻ってきてしまったり、働く意味がないと思ってしまったりして、負のループになってしまう。夜の仕事も売春もパパ活も一度始めてしまえば感覚がマヒし、無限に稼げると思ってしまい、生活保護や昼職をするという選択肢が無くなってしまうのは想像できる。
    そこで、遠くから他人事のように呼びかける人とは大きく違い、荒井先生のように近くで直接呼びかけるのはとても効果的だと思った。
  • 今回の講演で最も良かったことは、私自身の生活保護者への偏見をなくせたことだ。私も「要支援対象者」になってしまった際には、恥ずかしがらず、堂々と利用したいと思う。
  • 今回の講話を聞いて、私自身の現在の支援制度への見方が180度変わったと感じた。支援される側は、支援されるのだからこちらが支配、管理しなくてはといった社会の考えが根強く、協働的な関係性を築ける機会はほぼない。そこで、支援される側=社会的な弱者といった見方を変えうるため、コミュニケーション重視の被支援者のグループ活動を行う荒井さんの活動こそ、真の福祉だといえるのではないかと感じた。
  • 現在、良いとされて行われている支援の中にも、子どもたちにとっては苦しさと繋がっているものがあるかもしれない。だからこそ、支援のあり方を荒井さんの考え方をベースに改めて見直す必要があるだろう。(中略)私自身も、そのような事実を学んだからには、他人事として考えずに何か行動を起こしてみようと考えた。
第1回 政策デザイン学科 開設記念講演会
開催日
2023年6月22日(木) 13:30~15:10
開催場所
東北学院大学土樋キャンパス 
ホーイ記念館(地下) 多目的ホール
申込方法
入場無料 申込不要
※どなたでもご来場いただけます。
内容
ボルネオの熱帯雨林と私たちのくらし
講師 中西 宣夫 氏(NPO法⼈ボルネオ保全トラスト・理事/サラヤ株式会社・調査員)

ボルネオ島は、東南アジアの島でインドネシア・マレーシア・ブルネイの3国の領土からなっています。熱帯気候に属し生物多様性のホットスポットです。しかし、ボルネオ島の熱帯雨林はこの50年ほどで急速に減少しています。その大きな原因の一つはアブラヤシ農園の開発です。

アブラヤシの実から採れる油(パーム油)は日本にも輸出され 、私たちの生活に欠かせない必需品の原料となっています。2020年の統計では日本は年間約76万トンのパーム油を輸入しています。日本に入ってくるのはほぼすべてマレーシアとインドネシアで生産されたパーム油です。

2004年、あるできごとをきっかけにサラヤ株式会社はそのアブラヤシ生産の現場で起こっている様々な問題に気づかされました。そして、それを契機にボルネオ島で、生物多様性保全事業を立ち上げました。現在は現地小規模農家の支援も開始し、非木材林産物を使った製品の開発にも取り組んでいます。

今回はサラヤがボルネオ島にかかわるようになった経緯、現地の状況、これまでの活動や今後の展望について野生生物の写真、視察ツアーの様子などもご紹介しながらお話しします。

主催
東北学院⼤学
地域総合学部 政策デザイン学科
後援
宮城県、仙台市、宮城県教育委員会、仙台市教育委員会、河北新報社
学生の感想
  • サラダ油は使っているけど、パーム油は私とはそこまで関係がないだろうと考えていました。しかし、講演を聞いたことで、パーム油は私たちの周りでは多く使われており、恩恵を受けていることを知りました。それと同時に、私達が利用するためのパーム油を生産するためにアブラヤシ栽培がおこなわれ、栽培するための開発によって、もともと住んでいた人たちや動物の生活・命が脅かされていることも知りました。
  • 講演者の話を聞いて、目視で容易に分かるほど熱帯雨林の減少が進んでいることに衝撃を受けた。また、森林開発による火災や児童労働など、環境問題に限らず社会問題等にも発展していることに心が痛んだ。
    また、それらの課題を解決するため、RSPOという対策やゾウとの共存を考えてみたりと、生物多様性の減少や莫大な広さのプランテーションへの対処が世界的に考えられるようになっているが、そのことを自分が如何に何も知らずパーム油を利用していることを理解し悔やんだ。今後は製品表示を見るなど、個人でもできる解決方法を実践していきたいと考えた。
  • 今回のお話のなかで見た、ゾウの動画が印象に残りました。私たちが普段お世話になっている洗剤の原料であるアブラヤシをめぐって、人間とボルネオゾウとの間に摩擦がうまれてしまっていたことを知り、とても心が痛みました。
  • 私は大学に入るまでボルネオがどこにあるのか、どんなところなのか、何ひとつとして知りませんでしたが、今日の講演を通してボルネオや今まで触れてこなかった異文化について興味をもちはじめることができました。
  • 環境問題については毒性の強い農薬を使っているせいで、生活用水の汚染や肌荒れの問題があることを学びました。また、労働問題については、児童労働や過酷なノルマなどがある中で働いている人がいるという問題があるということを学びました。このことから、自分が普段何気なく使っているパームオイルを作るために様々な犠牲が生まれているのだとわかりました。
  • 今回、本講演を聴いて、ボルネオのプランテーションの大部分で生産されているパーム油が自分たちのとても身近にたくさんあることを知り、印象に残りました。〈中略〉 現在では、様々な人の協力で改善が進んできていることを知り、このように問題があっても、解決に向けて、協力して、地道に活動していくことが大切だということが改めてわかりました。自分もこのような活動に携わっていきたいと感じました。
  • 世界で起きている問題は日本と無関係なわけではない。私たちが生活する上で知らないうちに加担している場合も考えられるため、やはり、「知らない」ということが一番こわいことだと感じた。
  • (講師の)中西さんは今こそサラヤで尽力していらっしゃるが、かつてはやりたいことが見つからなかったと聞き、共感を抱いた。〈中略〉 私は今なんとなく公務員を目指しているが、この先ちょっとしたことで思いが変わることもあるだろう。そのため、興味を持ったことに跳び込んだり、もしくは思い付きでアクションを起こしたりして、視野を広げていきたい。
  • 何かを変えるためには、多くの人の協力が大切であると考えた。〈中略〉 講演会では環境問題だけでなく、生活につながりそうなことも学べたからよい経験になった。

(2) 街中キャンプ

政策デザイン学科1年生が、去る2023年5月13日、第40回全国都市緑化仙台フェア 未来の杜せんだい2023会場で開催されたプロジェクトに参加しました。東北学院大学学生連携事業として、高砂中央公園会場で開催された「街中キャンプ」プロジェクトで、これはまちの人の声を聞き、その中にある見過ごされがちな小さな声に注目し、その背景にある社会問題の種に迫り、その解決策を検討、提案していこうというプロジェクトです。今回は「子育て・教育・女性の社会参加」をテーマに声を集めました。精力的な取組で、幅広い方から生の声を集めることができ、これを元に今後分析を進めていきます。

学生の感想
  • 私がプロジェクトに参加した理由は、杜の都仙台の魅力を向上させるために、自分にできることから始めようと考えたからです。5月中旬に行われた街中キャンプでは、市民の皆様の子育てに関するリアルな声を聞くことができました。学生だけでは気が付かないような沢山の意見に触れることができ、仙台で子育てする上での様々な課題を発見しました。今後は、頂いた意見を参考に調査を進め、市民主導のまちづくりの実現に向けて活動していきます。(宮城県立富谷高等学校出身 関根千咲)
  • 地域をよりよいものにするためにボランティア活動に積極的に参加したいと考えていたので、今回街中キャンプに参加しました。街中キャンプでは子育てに焦点をあて、実際に育児をしている親御さんに子育てで大変だったことを聞きましたが、想像以上に子育てが大変だということを改めて感じました。今後は子育てを支援するために自分には何ができるか考えていきたいと考えています。(宮城県立泉館山高等学校出身 後藤麻緒)
  • 私は、地域の人と直接関わることで地域の人の声を聞き、地域の現状について知りたいと思い、プロジェクトに参加しました。活動を通し、インタビューをすることの難しさ、コミュニケーション能力といった自分自身の課題を発見することができました。普段、地域の人と関わる機会が少ないため、今回の活動はとても貴重な体験になりました。今後も積極的にボランティア活動に参加していきたいです。(岩手県立盛岡北高等学校出身 髙木茜璃)
  • 今回街中キャンプに参加して、改めて子育てがどれだけ大変なものかを知りました。特に、手助けがほしいという悩みが多くあり、子育て支援を活発化していくことが必要だと感じました。どのような課題があるのかを具体的に知ることができ、そのために自分は今何をすべきなのか考えさせられるとてもいい機会になりました。とても貴重な経験となりました。(秋田県立角館高等学校出身 明平美咲)

(3) ボランティア

政策デザイン学科では、学生の皆さんにボランティアを紹介することがあります。

2023年10月9日に開催された「マイタウンスポーツデー&スポ・レク祭」(太白区レクリエーション協会主催)では、政策デザイン学科の1年生が受付や各ブースの運営のお手伝いをしました。当日は約250人の大人や子どもが来場し、バッコーやラダーゲッター、輪投げなどを楽しんだそうです。