文化財レスキュー活動でふたつの古写真展を開催 "おしか鯨祭り"でのブース出展と「古写真と民具で振り返る捕鯨の町・鮎川」展(サンファン館)報告
2014年10月17日
本学が東日本大震災以来関わってきた、牡鹿半島での文化財レスキュー活動では、被災地で文化財を展示して聞書きを行うなどの活動を行ってきました。その活動の一環で、仙台に震災後移住した方々を中心とした「鮎川の風景を思う会」との交流が始まりました。
10月15日、同会の提供による大正から昭和30年頃に撮影された古写真を、開催された“おしか鯨祭り2014”にブース出展するかたちで展示をしました。地域の方々は、活気あるかつての町並みや最初期の鯨祭りの様子を見ながら、震災前のふるさとの風景に懐かしさとともに思いを馳せていました。当日は、捕鯨会社によるツチクジラ炭火焼の無料振舞いに学生たちもお手伝いしました。
企画展「古写真と民具で振り返る捕鯨の町・鮎川」展(10月11日~26日)
場所:宮城県慶長遣欧使節船ミュージアム
現在、石巻市にある宮城県慶長遣欧使節船ミュージアム(サンファン館)のギャラリーにて、民俗学実習の学生による展覧会を開催しています。内容は、「鮎川の風景を思う会」提供の古写真30点と、文化財レスキューで学生が保全作業を行った捕鯨関連資料10点で構成しています。10月25・26日には、牡鹿半島の漁具等を陳列して、学生による昔のくらしについての聞書きも実施いたします。通算7回目となる、文化財についてのデータ収集の活動によって、徐々に牡鹿半島の民俗が明らかになりつつあります。
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展覧会のごあんない
牡鹿半島の突端に位置する鮎川は、近代捕鯨の前線基地として明治初期から栄え、商業捕鯨禁止後も小型沿岸捕鯨を中心に捕鯨文化が育まれてきました。
今回の展示では、レスキューされ保全作業が終わった旧鮎川収蔵庫の捕鯨用具、大震災前に地域で収集された古写真などを展示し、昭和初期から中期の鮎川の捕鯨と鯨まつりの風景をふりかえります。
とりわけ古写真は、「鮎川の風景を思う会」からの提供によるもので、現在東北学院大学の学生がその整理と内容の調査を進めているものです。今後も、地域で展示する機会を作っていこうと考えています。
みなさんの心の中に今も鮮明にある、くらしの風景を、こうした資料からよみがえらせていきましょう。
東北学院大学文学部准教授 加藤 幸治