東北学院大学

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博物館

主な収蔵品と調査研究

民俗資料の調査研究(生活文化の歴史)

本学の民俗学ゼミナールは、これまで民俗・宗教関係の研究に重点をおきつつ、東北地方の民俗資料の収集と研究を進めてきた。民間信仰を背景とする祭祀用具と、衣食住や生業など日常に用いられた道具とを中心に、約千点に及ぶ東北各地の民俗資料を保管している。

これらの資料を使い、民俗学実習の授業の一環で一年に数回展示がえを行っている。

東北地方の民具コレクション

民俗学とは

民俗学は、人々の生活文化の歴史的展開を明らかにする学問である。その対象は家族・衣食住・信仰・生業など多岐にわたり、現地での観察や、聞書き(インタビュー)を用いて民俗調査を行う。自分で見聞きし体感するフィールドワークによって、暮らしぶりの実態や地域らしさ、時代の様相などを読み解いていく点に、民俗学の醍醐味があるといえる。

七夕馬(たなばたうま)
展示する七夕馬
展示する七夕馬

東日本に広く見られる七夕馬の習慣は、七夕の日にワラやコモクサで作った雌雄の馬を、家屋や馬小屋の屋根上・玄関先などに供えるものである。展示の七夕馬はいずれも宮城県内のものである。宮城の七夕は、旧暦によって月遅れの8 月7 日を中心に行われており、七夕馬も盆に連なる行事として供えられる。

七夕さま・田の神さま・精霊(しょうろう)さま・お盆さまなどと呼ばれる神が、七夕馬に乗り家にやって来ると言われている。

七つ飾りと七夕馬の展示
七つ飾りと七夕馬の展示

全国的にも有名な仙台七夕祭りは、毎年8月6日から8月8日にかけ、市内のいくつかの商店街を中心に開催される。この時期には商家に限らず、民家も含め七夕をする家が多く見られる。手製の竹飾りを竹に吊るして軒先などへ飾るのだが、この竹飾りに「七つ飾り」と呼ばれる7 種の型が定められている点が特長的である。

短冊・着物・折鶴・巾着・投網・吹流し・屑籠を指して七つ飾りと称すことが多いが、このほかに七夕線香や張り子の行灯などと入れ替わることもある。現在も商店街や民家を問わず、七つ飾りを下げた七夕をよく目にすることができる。

おしらさま

おしらさまは蚕・農業・馬の神などとして信仰され、東北地方に広く分布している。桑の木や竹などを用いた軸に、人面や馬、烏帽子をかぶる男神などの神像を彫り、これに布をかぶせた形をしていることが多い。布の着せ方は大まかに2種類に分けることが出来、頭から布をかぶせるものを包頭型、切れ目から頭を出すものを貫頭型として区別する。

おしらさまをまつる家では年に一度、祭日に巫女をよび「おしらさま遊ばせ」という儀礼を行う。

このとき布を一枚重ね足していくため、衣の枚数からおしらさまのおおよその古さを予想できる。

家々の神棚や床の間などへ安置されてまつられることが多いおしらさまであるが、当館のおしらさまは家でまつったものではない。もとはオガミサマやイタコなどと呼ばれる民間宗教者が祭具に用い、後になって岩手県一関市薄衣の大乗寺に納められたものである。

かつて大和宗本山としてオガミサマたちに信仰された大乗寺には、まつる人のいなくなったおしらさまが多数納められており、その数は合計200体におよぶ。大乗寺では毎年布を足すことはしていないために、布の枚数からそれらのおしらさまがいつ頃作られたものか伺うことは難しいが、当館のおしらさまは衣をめくると神像部分に慶長十三年(1608)の墨書を見ることができる。

当館のおしらさま
当館のおしらさま
おしらさまの墨書
おしらさまの墨書
絵馬

寺社に祈願するときや、願いが叶ったお礼に寺社へ絵馬を奉納することは現在も広く見られる。大型の絵馬の場合など画家に描かせたものを用意し奉納することもある。

かつては生きた馬を神馬として奉納したものが、次第に木・紙・土などで作った馬の像の奉納、板に描いた馬の絵の奉納というように簡略化されたものと言われている。馬の絵以外にも特色ある多様な絵が描かれるようになった。特に江戸時代になると、家内安全・商売繁盛など実利的な願いをかけて絵馬を奉納する習慣が庶民に広まった。

たとえば展示資料の百足絵馬は、ムカデが足が多いことから、“おあしがたくさんつくように”と金運の象徴として信仰され絵馬のモチーフになったものである。

他にも船主が船の航海安全を祈って奉納した船を描いた絵馬や、本尊がひょうたんに乗って流れ着いたとの由来譚にちなみひょうたんを描いた絵馬などをはじめ、青森・岩手・宮城・福島で採集した絵馬を展示している。

明治中頃青森県佐井の絵馬
明治中頃青森県佐井の絵馬
明治中頃青森県佐井の絵馬
明治中頃青森県佐井の絵馬
むかで絵馬
むかで絵馬
相馬市夕顔観音の絵馬
相馬市夕顔観音の絵馬