東北学院大学

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学長の部屋

大学入学式告辞

平成28年度 東北学院大学入学式 告辞

本日ここに、2016年度入学式を挙行するにあたり、新しく入学された皆さんに心からお祝いを申し上げます。またご臨席の保護者・ご家族の皆様にお慶びを申し上げますと共に、ご来賓の皆様にも厚くお礼申し上げます。

皆さんはそれぞれに高校での学びを終え、選ばれて入学の権利を勝ちとられ、ここにおられます。今東北学院大学の一員となられました。大学としてこの上ない喜びであります。「若者の心を育てる」ことを掲げてきた私たちは、皆さん方一人一人を、代え替えのない人格として尊重し、受け入れます。これからの4年間、全力でサポートすることをお約束します。

東北学院大学は6つの学部と6つの大学院研究科を有する、東北でも最大規模の私立大学であります。しかも、130年という、日本の私立学校の中でも有数の長い歴史を誇っています。近代明治日本誕生の時代、西欧とアメリカの文明流入の一環としてプロテスタントのキリスト教伝道者が到来し、横浜・東京・関西各地に教会だけでなく、いくつもの学校を設立し、日本の教育近代化に貢献したのですが、仙台では、1886年(明治19年)にアメリカ人宣教師W. E.ホーイ、D.B.シュネーダー、そして日本人初代のクリスチャンの一人押川方義らの働きによってキリスト教学校が設立されました。これが東北学院の前身、仙台神学校であります。創立5年目に仙台神学校は東北学院と改称し、現在の名称となりました。

創立以後、政府による統制や戦争による苦難の時代を経験しながらも、東北学院は教育の幅を広げ、キリスト教を基盤とした高等教育機関としての歴史を歩んできました。大学の設立は1949年であります。創立以来、総計18万に達する卒業生を本学は世に送り出してきました。仙台で、東北で、のみならず世界各地で、職場で、また家庭で、よい働きをしています。社会では、これら東北学院卒業生たちに、高い評価を与えてくださっています。

そのような評価を得る人材・人格が育つ要因が、私は東北学院大学の基盤・建学の精神であるキリスト教の教えと、人格陶冶のための教養教育重視の伝統、そしてその上に加わる専門的分野の知識と能力、この3層構造の教育にある、と信じています。これからの4年間を皆さんは自覚的・自主的に大事な時間と受け止め、学び、成長してゆく時間とし、社会から喜んで迎えられる評価を身に着けて卒業していってください。今日同様に大学院に入学なさる皆さんは、学部4年の学びの後、さらなる専門研究を志しておられるわけですが、目指す方向は同じであります。

まず学院の教育理念の基盤、これを建学の精神とも言います。それは、「聖書の示す神に対する畏敬の念とイエス・キリストにならう隣人への愛の精神を培い、文化の発展と福祉に貢献する人材の育成を目指す」、と定められています。よりわかりやすい表現で、私たちは「地の塩、世の光」というイエスの言葉をスクールモットーとしています。

この精神によって、大学の3つのキャンパスでは、毎朝10時台に、短くはありますが礼拝が必ず行われます。聖書を読み、それに基づくメッセージを聞き、学院の根幹の精神を知ってほしいと思います。

次に教養教育ということです。6つの学部にはそれぞれの専門性がありますが、いかなる分野の知識を身に着けるとしても、何より人間を知り、社会での生き方を知るために、専門分野の基盤となり、背景となる授業を大学前半期を中心に学ぶのです。それは外国語であり、政治・法律・経済・科学・芸術などの諸分野の基礎的知識であります。

これに加えて東北学院大学には「TGベーシック」と呼ぶ、学生の社会的能力の育成に配慮した、日本語やコミュニケーション能力、思考方法のスキルを磨いたり、などの内容の科目があります。これらによって一層皆さんの実際的な力がつくだろうと思います。

その上で、理科系であれ、人文社会系であれ、皆さんは高度な専門分野を各学部において学んで卒業し、地域へ、世界へと羽ばたいてゆかれるのです。

本学では、創立150年に向けて、新たなスクールモットーを掲げました。それは「ゆたかに学び、地域へ世界へ-よく生きる心が育つ東北学院」というものです。そのように皆さんには学んでいただきたいですし、そのための環境を大学は提供します。

大学では、これらいくつかの要素からなる教育を、皆さんが過ごす4年間の在学中、どのように受けてゆくかをカリキュラムで示します。すでに始まっているオリエンテーションで、先輩のオリエンテーションリーダーや教職員から、皆さんそれぞれのカリキュラムを構想し、大学生活の過ごし方を教わってください。ファーストコンタクトがよいスタートとなって、新しい友人もできればよいと思います。

皆さんのキャンパスライフが充実したものとなるよう、大学は配慮してゆきます。工学部以外の皆さんが学ぶ泉キャンパスにはコンシェルジュというスタッフがいて、皆さんの支援の備えをしています。

まずは授業を大切に、ではありますが、課外活動も大学生活の潤滑油であり、人生一生に関わることかも知れません。積極的に取り組んでください。また東北学院大学では伝統的にボランティアの社会活動が盛んですが、大震災の後は復興ボランティアステーションができ、全国の大学ボランティアのキーステーションとなって活躍しています。若者への社会の期待には大きなものがあります。どうぞ助けが必要な人々のために奉仕する機会を広げてください。

毎年授業の方法については工夫し改善を行っています。学生自身が考え、調査し、報告提案する、アクティブ・ラーニングという方式を多くの授業で取り入れています。図書館でもパソコンなどを使いこなせるよう新たに準備しています。授業は今、先生が教えるだけ、という一方向のものではなく、学生が主体的に授業に関わり、調べ、考え、まとめたことを発表し、討議し、評価し合うような、能動的な学修が求められています。

大事なのは、皆さん自身が、大学生活をどのように展開してゆくか、その意志を明確にもつことです。皆さんが自分の希望を明確にし、それを教授たちに示し、教えを請う、皆さん自身の言葉です、説明力です。聖書の言葉を加えるなら、「求めなさい。そうすれば与えられる。・・門をたたきなさい。そうすれば開かれる」(マタイ7:7)であります。

東日本大震災から5年が経ちました。復興は、津波の被災地と原発事故の福島でとりわけその道に厳しいものがあります。復興のための人材が求められています。ボランティアでのみならず、研究成果、地元への就職者、それらもまた大学は期待されています。東北学院大学は東北日本という地域の大学として、その社会と人々と共に生き、共に創造する大学であることを明確に打ち出しています。土樋校舎に新しく出来た5階建てのホーイ記念館は、その象徴です。文・法・経済・経営の学部の皆さんは3年になったら、大いに活用できる建物です。教室に加えて、カフェテリアや小ホールが備わっており、地域の住民の方々にも広く利用していただく予定なのです。

皆さんも、このように地域社会と共に生きる大学の働きに、主体的に関わっていただきたい、その覚悟を共にしていただきたいと思います。

大学がなすべきこのような貢献もまた、「汝の隣人を愛せ」、また「人にしてほしいと思うことを人にもしなさい」とのイエスの言葉に根拠をもつのであります。改めて、キリスト教の教えは時代を超え、世紀をも超え、不変の価値をもち、21世紀の不安な諸側面を打開してゆくよりどころである、と信じるものです。

厳しい時代の中で大学生活を始めようとする皆さん、東北学院大学は、これからの4年間、豊かな構想を持って発展してゆこうとしています。皆さんも共にこの4年間を、計画的に、着実に、しかし心は高く、快活に、過ごしてほしいと思います。そのキャンパスライフを大学はいつも見守り、支援を惜しまないことをお約束します。

以上をもって学長の告辞といたします。

2016年4月5日

東北学院大学学長 松本 宣郎