東北学院大学

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学長の部屋

大学卒業式告辞

平成27年度 東北学院大学卒業式告辞

本日ここに東北学院大学を卒業なさる、学部2533名、大学院41名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

東北学院大学で学んだ4年間あるいは6年間のことが、今皆さんの脳裏に想起されていることと思います。皆さんは本学の6つの学部、7つの研究科で学び、卒業と修了を認定され、学士号、修士号を獲得して旅だってゆかれます。分野は様々ですが、それぞれの学問の専門的知識とその研究手法を皆さんは身につけたわけです。

学んだ授業のタイプは講義、演習、と様々だったと思います。フィールドワークやゼミのプレゼンで鍛えられたでしょう。単に教えられるだけではなく、皆さん自身が自主的に、自己の判断で問題を発見し、調査し、発表の言葉や論文を構想し表現することが求められる、アクティブラーニングの新しい授業スタイルが取り入れられたと思います。

それだけではなかったでしょう。よき人々との出会いがたくさんあっただろうと思います。授業を共にするだけでなく、一緒に飲み、スポーツし、自分の理想や悩みを語り合う友、とことんまで卒業論文の作成につきあってくれた先生、これらの人たちとは生涯つきあってください。

どうか自分の力に自信を持って、社会に踏み出していただきたいと思います。さきゆき不透明で、不安も多い現代社会ではありますが、そこを生き抜いてゆく基礎能力と人脈とを、皆さんは東北学院大学での学びの中で身につけているのです。

神学校・中等教育学校から始まった東北学院が最初の学院卒業生を送り出したときから数えて、すべての卒業生は17万人を超えます。その卒業生、TG同窓生の大きな群れに、新しく約2800名の諸君が、今日加えられることとなります。それは、伝統のスクールモットーである、Life, Light, Love、そして「地の塩、世の光」を掲げて、よい社会を作るために、誠実に働き、不正にひるまず、平和を求め、まさに「よく生きる」まことに力強い群れであります。これらの先輩たちが社会人としての皆さんを迎え入れてくれるのです。

皆さんの多くは、東日本大震災から1年経った年の春、入学されたことかと思います。キャンパスの設備はほぼ完全に復旧し、礼拝も授業も滞りなく行われたことでしょう。それでも、地震と津波の被害の影響をまだ受け続けている方も少なくなかったでしょうし、被災者からの支援要請は続いていて、中にはそれに応えてボランティアに出かけた人もいたでしょう。インターンシップなどで、復興に苦闘している企業の現場に立ち会った学生もいたかも知れません。

これらの経験をし、震災からの復興について考えを巡らさざるを得なかった皆さんは、それだけ深く、人間について、人と人の絆について、また人の命、というものについて認識し、受けとめたと思います。

これらの皆さんの精神面での成長は、大学での学びの蓄積と合わせて、今日これから皆さんが出て行かれる、仙台の、東北の、あるいは日本全体、そして世界各国の、まさに現場で生きてゆく上で、必ず大きな武器となるでしょう。

世界の経済状況は予断を許しません。身近には貧困や格差、暴力の問題があります。政治家は理想も哲学も語らなくなり、経済的利益と効率、軍事に支えられた国家愛にのみ興味を持つかのようです。そして、インターネットと先端科学の進歩は、人間関係や倫理、道徳が受け止められないほどに肥大し、想定外の犯罪や摩擦を生み、深刻化を招いています。世界的には複合的な理由によるテロや戦争、難民の危険、そして原発問題をも含めての環境破壊、などの解決不能と見える障害が至るところにあることに気づかざるを得ません。

これらの課題に直面する皆さんへのお願いです。悲惨な状況にある人々に手をさしのべてください。戦争と人権の弾圧を目指す勢力を批判してください。精神を忘れて利益のみを求め、弱い人々を顧みない、社会的強者に、謙遜と寛容を求めてください。そのために東北学院大学で、聖書に学びキリストに聞いた言葉を、是非活用してください。

東北学院で学ばれた皆さんは、いかなる苦難を経験するときも、キリストが私たちと共にいてくださる、ということを、感じられたと私は信じています。

聖書は、「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む。希望が失望に終わることはない」、と語ります。現状はなお忍耐を要する事柄が山積していても、希望は失われることがないのです。それを東北学院を卒業してゆかれる皆さんには知っていただきたいのです。

「神は耐えられないような試練を与えることはなさらない」、とも聖書は教えます。東北学院を巣立つ皆さんにはこれは特に力強い支えです。身につけた専門的知識、そして聖書の言葉が、よく生きよう、隣人を愛し、地の塩、世の光として、世界を正しい方向へとみちびくよう働こう、と決意する皆さんのいついかなるときにも確かなよりどころとなるでしょう。

厳しい社会へと旅だってゆかれる皆さんの、力強いあゆみと明るい未来が開かれることを確信して、告辞といたします。

ご卒業おめでとうございます。

2016年3月24日

東北学院大学学長 松本宣郎