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学長見聞録 vol.2:東北学院大学ロボット開発工学研究室を訪ねて

(東北学院時報 2014年5月15日発行 第721号)

学長見聞録 vol.2:東北学院大学ロボット開発工学研究室を訪ねて

多賀城市にキャンパスを構える工学部は、地域の産業の発展に必要な「倫理観と英知を備えた工学技術者・産業人」を育成することを目指しています。今回は、その工学部の中でも、学生たちとともにユニークなロボットを数々誕生させてきた機械知能工学科の熊谷正朗教授に、ロボット開発秘話などを伺いました。

学長
熊谷先生がこの分野に興味を持ったのはいつ頃のことですか?
熊谷
子供の頃から工作好きだったことに加えて、父が高専の教員をしており、身近に電子回路技術などがありました。小学校の高学年になるとパソコンも触り始めたのですが、ゲームばかりしていたら禁止令が出てしまい、代わりに自分でソフトウエアを作るようになったことでいつの間にか必要分野がそろっていたことがそもそもの始まりでした。
学長
そうした経験から今があるわけですね。現在はロボット工学が専門ですよね。
熊谷
そうですね。わかりやすい表現でロボットと言っていますが、本来はメカトロニクスという分野が専門です。メカトロニクスは機械における電子制御やコンピュータ制御などの総合技術で、現代社会の基盤技術です。ロボットはそのごく一部にあたります。
学長
ロボットというのは人間の形をして、人間の代わりに何らかの仕事をする。鉄腕アトムのようなヒューマノイドのことをロボットと呼んでいいんでしょうか?
熊谷
カレル・チャペックが書いた舞台小説で初めてロボットという言葉が誕生したわけですが、90年代までは人型をしているという印象が一般には強かったと思います。しかし、研究者の間ではロボットは人型という認識はあまりなく、そうした違いを説明することは大変だったのですが、近年は動物型ロボットだったり、掃除をする円盤形ロボットだったり、形が重要ではないという認識が世間一般に広まったのではと思います。とはいうものの、実はロボット研究者でもここからここまでがロボットですと線を引くことができずにいて、私がたどり着いた結論は、ロボットという名前を付け、納得されたものがロボットになっている、という考えです。
学長
昨年のオープンキャンパスのときに初めて玉乗りロボットを見たのですが、インターネット上の映像サイトでたくさんのアクセスがあったと聞いています。
熊谷
工学部機械知能工学科では、3年生のときにどんな研究をしたいのかをアピールするプレゼンテーションがあり、その結果で4年で所属する研究室が決まるというユニークなシステムを導入しています。その時に玉乗りロボットを作りたいといった学生のアイデアがきっかけで誕生しました。
学長
ある年の学生が新しいロボットを作って、次の学年の学生がそれを発展させたというケースもあるのですか?
熊谷
新アイデアものはゼロからのスタートとなりますが、改良を提案し、引き継ぎ発展させる場合もあります。また、卒業までの約1年間では最初に思い描いたところまでは作れないケースも多く、学祭などで皆さんにお披露目しているなかには、学生の卒業後に私が手を加えてバージョンアップしたものもあります。基本的に技術面で多めに支援しますが、なかには自力ですべてを成し遂げてしまう学生もおり、私が開発に携わっていないので、最大の褒め言葉は、「君の卒業研究はちゃんと説明してくれないとさっぱりわからない」ということになります。
学長
先生にとってはうれしい出来事ですね。話は変わりますが、工学部では出前授業にも力を入れていると聞いています。
熊谷
工学部は以前から出前授業に積極的で、要請があればボランティアで授業を行っています。私の場合はロボット関係の話をしますが、たくさんの人に少しでも工学に対して関心を持ってもらえればいいなと思っています。また、仙台市の地域連携フェローとして企業に出向きアドバイスを行うなど、学外においても何らかの社会貢献ができたらと思っています。

このたびのお話しで、ロボットについての様々な疑問がすっきりと解けました。また、これまで学生と一緒につくってこられたユニークなロボットたちは、本学にとって貴重な財産でもあります。玉乗りロボットのように、今後も世界を驚かせるロボットの誕生を期待してやみません。

熊谷正朗教授

熊谷正朗教授

工学部機械知能工学科教授。博士(工学)2000年東北大学大学院工学研究科機械電子工学専攻修了。2006年「計測自動制御学会学術奨励賞(研究奨励賞)」受賞。地域連携フェロー(仙台市非常勤職員)を兼任するなど、多彩なフィールドで活躍中。