東北学院大学

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学長の部屋

スピーチ・講演録

2017年 年頭のことば

理事長・学長 松本宣郎

2017年を迎えました。新しい年を健やかにお迎えになった東北学院に連なるすべての皆様にお慶びを申し上げます。この一年の皆様の歩みが、私たちの導き手である神の祝福のうちに守られますよう、お祈りいたします。

昨2016年は、学院創立130周年の年でありました。3月に本館正面のホーイ記念館が竣工し、秋には本格的に始動しました。アクティブラーニング教育展開の場として、研究の充実のため、さらには地域の市民にも公開して利用していただく、まさにこれからの大学の社会的あり方を体現する建物であります。

5月には創立記念式典が、また秋にはラーハウザー記念礼拝堂「キリストの昇天」を描いたステンドグラスの美術史的価値を再発見出来たシンポジウム、その他の催しが数多く行われ、記念の年を彩りました。大学と共に、中学校・高等学校、榴ケ岡高等学校、幼稚園にも豊かな恵みが与えられ、新コース制を打ち出したり、文化活動にめざましい成果を挙げたり、またこれも130周年記念の合同の合唱と音楽のフェスティバルに幼稚園児も参加するなど、活発な動きの一年であったと言えましょう。

それにまして、本学院に連なる学生・生徒・園児、そして教職員の多くが、その課題に立ち向かい、躓きや痛みを経験しつつも克服し、学び、支える働きを全うできたことを感謝します。

その130周年の掉尾を飾る出来事が、仙台市立病院跡地利活用事業者の申請に応募し、私たちの「五橋アーバンキャンパス」構想が採択されたことであります。このことについては新しい年の課題、でまた触れたいと思います。

これらの業を継承して、131周年のこの年は、更に一つ上のステージに昇ってゆく東北学院でありたいと願うものです。それは一昨年掲げたTG Grand Vision 130-150の着実な実践でもあります。

「建学の精神」は、「地の塩、世の光」と「3L精神」としてわかりやすく謳われています。今年はいよいよ本院の歴史を記した『東北学院史』が完成します。大震災後の私たちの対応と再建、復興、被災者支援の働きをも盛り込んだわかりやすい書物となるでしょう。「建学の精神」の遂行の営みを、自ら確認し、社会に発信する手がかりとなるでしょう。

教学においては、最近の流行に乗って、私たちも「学生ファースト」を打ち出しましょう。もちろん「生徒」、「園児」ファーストでもあります。どこかの国の次期大統領の口癖で手垢がついた観もあります。「学生第一!」でしょうか?「学生さん、いらっしゃい!」も変でしょうか。彼らの未来を、ひいては命を育てるために、学院は彼らに寄り添い、見守り、傾聴し、支援することを約束します。大学へは全盲の新入生の入学が決定しています。耳の聞こえない学生の入学の可能性もあります。キリストのように、人に仕える姿勢をもって迎え入れたいと思います。

さて「市立病院跡地利活用」すなわち「五橋アーバンキャンパス」構想への着手、という大きな、しかし夢ふくらむ課題であります。大学の都心回帰の社会的動きに本学も従い、泉キャンパスの土樋包摂を決めていましたが、多賀城キャンパスについては、市立病院跡地取得によって初めて可能となったのです。これは東北学院の歴史上、これからの100年にとって決定的な事業であります。公式調印は3月の市議会承認を経てからのことですので、当面は内部で準備に着手する、ということになります。提案した構想では、礼拝堂を含むホール館、研究棟、講義棟、そして市民に開放された大学を象徴するエリアなどからなるもので、工学部と教養学部学生計6千人を教育する予定ですが、建築プランや各建物内部の配置などはこれから学内組織を設けて、法人・大学一体となって進めてゆく所存です。購入価格は44億円ですが、完成のためにはかなりの経費が必要でしょう。しっかりとした財政計画によって、十分に対応できると確信しています。

すべてが完成して始動するのは、6年後、2023年度と見込んでいます。少子化進行のこの時代、東北学院大学が魅力ある大学として受験生を引きつけ続けられるよう努力しなくてはなりません。

そのための働き人を学院は宝物としています。「地の塩」を進んで実践する教職員の皆さんです。どうかよろしくお願いします。

大学が魅力を発揮するためには教学の充実が不可欠です。学科整備の計画が進み、工学部の情報基盤などの学科再編が新入生を迎えます。文学部の教育学科も順調に計画が進み、今年中には申請が認められるでしょう。教養教育のあり方についても検討を始めていますが、「五橋アーバンキャンパス」構想が現実のものとなって、その方向性が明確になります。

新しい3つのポリシーの実行、アクティブラーニングの浸透、諸々の教育改革プログラムの実施、と課題は急増しています。また大学基準協会による認証評価がいよいよ本番を迎えます。3副学長体制でこれら教学の諸課題に臨みたいと思います。

「学生ファースト」と申しました。学生の満足度を常に高レベルに維持するための努力も怠れません。バリアフリー化を進め、メンタルの問題を抱える学生への配慮は一層求められます。窓口対応も丁寧にいたしたいと思います。奨学制度においても給付奨学金を増やすなどの手当が急務です。

大学のことが中心となりましたが、中学校・高等学校では新コース制が本格化するのが今年です。2年後に結果を導くことを保護者に約束した責任を果たさなければなりません。新しく設ける教頭制度により、改革の加速を大いに期待します。榴ケ岡高等学校には業者による評価提案を依頼し、その結果を得て改革に着手する年です。新副校長、教頭が校長を支えて、教員一丸となって積極的に進めて欲しいと思います。幼稚園には工学部移転計画を視野に入れて、独自の中長期の構想が求められます。英知を絞りたいと思います。

全キャンパスにおいて老朽化している施設設備が多くあります。インフラ整備に関して、確固たる財政見通しを立てて立案し、実現させていかなければなりません。五橋キャンパス取得で、計画はいささか複雑にはなりますが、学生の利便を重視したいものです。

これらのことを考えますと、私たちの仕事量が増えることは確実です。組織の見直し、効率化、省力化が不可欠です。ことに部署間の情報共有を一層心がけたいと思います。教員と事務職員との協働はもっと進めなくてはなりません。

FD、SDなどの研修会、職員人事制度を進めるための話し合い、などが東北学院の維持運営という目的に資するように、賢く遂行させたいと思います。そして働きの現場が、よい人間のきずなで有機的に機能してもらいたいものです。

しかし現実には、仕事に追われ、負担を感じることも少なくはないでしょう。ストレスとならぬよう、本人というよりむしろ同じ持ち場にある者、責任をもつ者が気配りを怠らぬよう願いたいと思います。ハラスメントについては、これを決して許さない、いっそうの配慮と、自覚、自己管理が必要です。

「神ってる」とか「神対応」などと、安っぽく使われて愉快ではありませんが、私たちの職場の人間関係に、他者を敬い、慈しむ「キリストにならう」まなざし、行動規範が意識されれば、と願うものです。

少子化もさることながら、厳しい政府の姿勢による補助金の抑制にも対応できる、また一般社会の大学に対する要請や批判に耳を傾けて、学校法人を存続させる戦略のために、知恵を絞り、総力で立ち向かわなければならないのです。学生・生徒・保護者、同窓会、学生を受け入れてくださる自治体、企業などステークホルダーに理解と支援を求めることにも力を注ぎたいと思います。

2017年は、マルティン・ルターがヴィッテンベルクの城門に九五箇条の提題を掲げて「宗教改革」の烽火を挙げた1517年から数えて500年目となります。ルターは史上初めて、キリスト教学校の必然性を説いた人でもありました。我が国でもプロテスタントキリスト教学校は150年の歴史を重ね、100の同盟校を持つに至りました。東北学院はこの、神が導いて来られた歴史において用いられてきた学校です。これからも守られ、用いられるキリスト教学校であるために、ありったけの努力を傾け、お支えいただきたい、と思うものです。