東日本大震災 東北学院の記録

調査・研究及び専門知識

本の出版:金菱清・東北学院大学震災の記録プロジェクト編
「3.11慟哭 絶望と再興の被災記」新曜社:総560ページ

【所属/氏名】教養学部 地域構想学科 金菱清 准教授
【分野/領域】環境社会学/社会学

概要

  • 学院を中心とした71人の震災の記録誌を作成。津波・原発・巨大地震編に分け、エスノグラフィーの応用的手法をとった。トピックは、「震災川柳・仮土葬・遺体身元照合・行方不明家族の捜索・火柱・救命ボート・津波からの脱出・消防団活動・牡蠣養殖・福島第一原発・母子疎開・避難所運営・一時帰宅・脱ニート・山津波・エコノミー症候群・新幹線閉じ込め・液状化現象……」と震災特有の多岐にわたるテーマが並ぶ。 
  • 編集に当たっては津波、原発事故、巨大地震というメインのトピックと地域をもとに、題名と副題(市町名)をつけて配置し、災害の全体像を把握することをめざした。マグニチュード9.0という巨大地震に長時間さらされた人々の生々しい体感。 津波に呑まれた人々の夢とも現実とも知れぬ死の恐怖と切迫感。目の前で赤子が車ごと沈んでいったり、遺体が電柱に吊るされている非現実感。さらには2万人に届かんとする死者・行方不明者の日々の捜索、火葬もかなわず仮土葬をしなければならなかった遺族の無念さ。行方不明の愛娘を探して避難所を巡り、遺体安置所に向かい、足を棒にしながら捜索し続け、四十九日を経過して遺体安置所で対面し「会えてよかった」と胸をなでおろす。そして原発の爆発音を耳にした人の言い知れぬ不安。何万人もの人々が身一つで行き先もわからずバスに乗って避難民と化した絶望感等が慟哭と彷徨の記録として描き出した。
  • 今回の原稿依頼のために、私の指導するゼミの学生たちを中心にプロジェクトチームを編成した。私が所属する東北学院大学(宮城県仙台市)の学生たちの出身地は被災地と重なることがわかった。学院の同窓会ネットワークを活用できれば、計量調査ではないが、ある程度被害の実態や全体像をつかむことができるだろうと、震災直後に直感した。そこでまずゼミ生に「震災レポート」の課題を与え、早い段階で覚えている限りの記録をとるように指示して提出してもらった。3月中旬で、大学の学期試験も終わり、それぞれが異なる場所で違う経験をしていた。
  • だいたいのイメージをつかんだ後、実習や一般教養の講義を通じて、500件を超える震災レポートを集めることができた。一般教養の講義は新一年生(震災時は高校生)がほとんどで、被災時は国公立大の後期受験や自動車教習所に通っていた学生が多いことがわかった。
  • もちろんそれぞれ微妙に異なるが、その違いは重要ではないと判断し、地域性、親族、知人  の記述に注意して取捨選択した。改めてその学生にコンタクトをとり、親御さんや知人に震  災の記録へのご協力を仰いだ。
  • 大まかな地域別にメンバーを分けて情報収集を行い、トピックを選出して、寄稿いただけそうな方を挙げていった。さらに職業・階層・年齢・性別などの偏りをできるだけなくすために、学院のOB・OG会の各支部や避難所や島を訪問して直接依頼した。仙台から遠隔の地域は、社会学の学問的ネットワークを通じて補った。震災の社会史を描くことに多少なりとも成功した。

実施期間

2011年3月から2012年2月まで実施

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