東北学院大学

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平成28年度推薦・AO入試小論文問題

平成28年度 推薦・AO・特別入試小論文問題(文・経済・経営・法・教養学部)

推薦入試・AO入試A日程・帰国生特別入試

下は、あるアメリカ人歴史家(1946年生まれ)による広島・長崎への原爆投下についての文章である。この文章を読み、次の設問に答えなさい。

  1. 文章の内容を100字以内に要約しなさい。
  2. アメリカの原爆投下の是非に関し、著者が最終段落のように主張していることについて、あなたはどのように考えるか。700字以内で論述しなさい。

「日本を即時降伏させるために原爆投下は必要だったのか」と聞かれれば、私の答えはイエスだ。原爆を使わなかったら、どれだけ戦争が続いていたか分からない。米国の原爆とソ連の参戦の両方が必要だった。

1945年7月16 日に実験が成功したことで、トルーマン大統領にとって原爆を使うべきかどうかは問題ではなくなり、いかにそれを早く使って戦争を終わらせるかが問題になった。

原爆は不要だったとする主張の欠陥の一つは、日本がすでに降伏することを決めていたというものだ。それは誤りだ。原爆が投下されるまで、日本が降伏を決めていたという証拠はない。なお戦争継続を主張する勢力が指導部にいることを米側は分かっていた。ただ、日本を降伏させるために本土侵攻は必ずしも必要ではなかっただろうし、あったとしても何十万もの米兵の命が犠牲になることはなかっただろう。

私の世代は「神話」と共に育ってきた。「戦争を終わらせ、100万人の米国人の命を救った」のが原爆だった。原爆の被害については考えたくないのだろう。

米国人と日本人の両者が「神話」から抜け出すため、歴史を学び直す必要がある。原爆が使われたのには、語られる言説よりも複雑な事情があったのだ。

私の考えでは、トルーマンの原爆投下承認の背景には、①早期の戦争終結 ②原爆開発にかかった巨費の正当化 ③ソ連に対する印象づけ ④日本への復讐心-といった要素が絡み合っていた。このうち、戦争をできるだけ早く終わらせたいというのが最も重要だった。そのために、トルーマンにとって原爆は最も良さそうな手段に見えた。

第1次世界大戦に従軍して同僚を失った経験を持つトルーマンにとって、米兵の命はかけがえのないものだった。彼が原爆を使ったのは、できるだけ早く戦争を終わらせ、戦闘でそれ以上の米兵が命を落とすのを防ぎたかったからだ。それが100 万人や何十万人という大人数である必要はなかった。救われるのが10人でも、1人でもよかったのかもしれない。

一方、広島への原爆投下よりずっと以前に日本は降伏すべきだった。勝てない戦争を続けることで自国民を見殺しにした。

「数人の米兵の命を救うために、何万人もの日本人の命を奪うことができるのか」と聞かれれば、「それが戦争だ」と答えるしかない。戦争に勝って兵士を生還させること。それが先の大戦での米国の真実であり、日本の大いなる悲劇だった。

(「米国が向き合う原爆」 脱「神話」へ歴史学びなおせ(朝日新聞 2015年9月8日付朝刊より)

Copyright © 2015 Dr. J. Samuel Walker. Reproduced with permission by Dr. J. Samuel Walker)

朝日新聞社に無断で転載することを禁止する

推薦入試(資格公募B日程)・AO入試B日程

以下は、「年齢差50歳 激突対談!世代間対立が生み出す「嫌老社会」」と題された対談のなかで、高名な老作家(五木寛之、1932年生まれ)が若い社会学者に語ったものである。これを読んで以下の設問に答えなさい。

  1. 老作家の主張内容を100字以内にまとめなさい。
  2. 高齢化社会が今後30年以上続くが、それは君の青年期・壮年期と重なる。この現実を前にして、老作家の主張を、君はどう考えるか、700字以内で論じなさい。

今、日本は、ひょっとして「嫌老社会」を迎えつつあるのではないかというのが、僕の予感なんですけど。引き金になるのは、現役世代の負担の増大です。これから先、生産年齢人口がますます細っていく一方で、「元気な」年金生活者が劇的に増えていく。介護になれば、そのコストも無限に膨らんでいくわけですね。「身を粉にして働いた中から、高齢者のためにこんなに多くの負担をしている」「その一方で自分たちは、年金をまともにもらえないかもしれない」――。そんな不満が、「高齢者を何とかしろ!」という方向にエスカレートしても、おかしくはないと感じるのですが。

首相官邸に「ドローン」を飛ばした人がいたでしょう。彼がネット上で高齢化社会をテーマにしたマンガを公開しているんですね。失業中の若者が、ハローワークで非正規の仕事を見つけたら、そこは政府直轄の「老人駆除隊」という謎の組織だった、みたいな設定です。清掃局が害虫を駆除するように、高齢者を見つけたら「駆除」していくみたいな。

最初に「老人駆除」の言葉を目にした時には、そりゃドキリとしましたね。そこまで言われるとなあ、と。ただ、読み終わった後には、別の「ドキリ」にとらわれていました。世の中の風向きが変わる時、その底流には、同じ時代を生きる人々が共有しながら、まだ無意識の領域に眠っている、肉体的感覚みたいなものがあるように思うのです。誰かがそれを指摘すると、「ええっ?」「まさか、そんなこと考えてもみなかったけれど……」と、みんなが覚醒させられるような。あの作品は、まさにそれで、今の時代の「隠された意識」を、どこかで反映しているのではないだろうか、と感じたんですよ。

(『中央公論』2015年9月号より。五木寛之氏の発言部分をとりまとめた。※の箇所は中略をした。)

社会人特別入試

下の文章は、グローバリゼーションのメリットとデメリットをテーマにした文章のうち、英語による言語のグローバル化を論じた部分である。これを読んで設問に答えなさい。

  1. 内容を100字以内で要約しなさい。
  2. あなたは著者の文章をどのように受けとめるか。700字以内で論じなさい。

皆さんも、英語にはさんざん苦しめられているのではないでしょうか。なぜ日本人なのに英語を一生懸命勉強しなくてはいけないのか、しかも大学入試の中でなぜこれほど大きな比重を占めているのかと不思議に感じる人も少なくないでしょう。

英語は、おそらく人類が手にした初めての世界共通語です。例えば、ある国の人と会話をするとき、互いの国の言葉を知らなくても、英語を介して意思疎通を図ることができる。第三者を介さずともコミュニケーションがとれるようになったという積極的な意味においては、英語が世界共通語になったことは非常に大きな出来事だといえます。

他方で、英語には、「英語帝国主義」と呼ばれる問題点もあります。

英語を母語とする人とそうではない人との間には非常に大きなハンディキャップが生じます。英語での表現には限界があるからです。皆さんも、この先、世界に何かを発信していく場合、どうしても英語で伝えなくてはならない場面に出くわすでしょう。すると、英語にはない表現や概念を説明する必要に迫られることがあります。あるいは、英語によって生み出された枠組の中に、表現すべき課題を組み入れなければならない。例えば、代々の長男が屋敷や土地を受け継いでいく日本の「家」は、英語の「family」と意味が異なります。そこで、日本語の「ie」の意味や定義を英語で表現しなければいけないという不都合が生じます。同様に、例えば最近では「過労死(karoshi)」や「オタク(otaku)」などという日本特有の表現も、注釈をつけるなどして、説明に手間をかけなくてはなりません。これはたんに表現の問題ではなく、英語による知の支配の問題なのです。

(伊豫谷登士翁「グローバルに考えるということ」
桐光学園+ちくまプリマー新書編集部〔編〕『揺らぐ世界』pp.220-221より一部改変)

平成28年度 推薦入試・AO入試 小論文問題(工学部)

推薦入試・AO入試A日程

機械知能工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

人類社会を維持、発展させていくためには、エネルギーの問題を見逃すことはできません。機械工学の立場から、エネルギーの安定的な供給、利用に対して、どのような取り組みが可能と思いますか、考えを述べなさい。

電気情報工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

あなたが今まで生活してきて、最も電気情報技術が役に立ったと思ったのはどんな時か、あなたの実体験をもとにして、具体的に述べなさい。

電子工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

近年、IoT(Internet of Things =モノのインターネット)とよばれる技術が注目されている。この技術を社会福祉にどのように役立てることができるか、具体的な事例かアイディアをとりあげ、電子工学を学ぶ立場からあなたの考えを述べなさい。

IoT:コンピュータだけでなく、世の中に存在する様々な物体に通信機能を持たせ、インターネットを通して、計測・制御、情報収集・分析などを行うこと。

環境建設工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

現在、地球温暖化による気候変動が、国際社会に様々な影響を与えており、その対応に向けて、今年はCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)がフランスのパリで開催されます。これらの影響は地域ごとに異なりますが、日本において、地球温暖化が原因と思われる、災害に繋がる自然現象を一つ挙げ、環境建設分野の技術者がどの様に係わるべきか自分の意見としてまとめなさい。

AO入試B日程

機械知能工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

自然災害に関するニュースが数多く聞かれます。機械工学の立場から、災害を未然に防ぐ(防災)、あるいは被害を最小限にとどめる(減災)という課題に対して、どのような取り組みができると思いますか。あなたの考えを述べなさい。

電気情報工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

高齢化社会であるわが国では、高齢者の役に立てる電化製品はどのような姿であるべきか、優先順位をつけて、できるだけ焦点をしぼって説明しなさい。

電子工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

社会において、電子工学の技術はどのような分野で活用されているのか、具体的な事例を複数とりあげて説明しなさい。また将来において、電子工学の技術はどのような方向に発展すると期待できるか自分の考えを述べなさい。

環境建設工学科

次の問題文について、600字以内で答えなさい。

土木、建築構造物の工事には、大量の天然資源(土、砂、砂利など)が使用されてきたが、近年、良質の天然資源が枯渇化しつつある状況である。このままでは、いずれ天然資源が底をつくことが考えられるが、限りある資源を生かすための手段として、あなたの考えを述べなさい。ただし、以下のキーワードを用いてもよいものとする。

〔キーワード〕
・リサイクル ・未利用資源 ・技術開発