東北学院大学

法学部 法律学科

学外講師による「特別講義」を実施

2012年08月20日

 前期開講科目である「法過程入門(1年生対象・専門導入科目)」では、大学より授業改善(FD)に向けての経費補助を受け、学外よりゲストをお呼びして特別講義を2回実施した。ゲスト講師を引き受けてくださったのは本学法学部卒業の髙城晶紀弁護士、本学文経学部経済学科卒業の鈴木和夫氏である。髙城弁護士には「弁護士の仕事」全般について、鈴木和夫氏には「更生保護制度」についてお話をいただいた。

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 鈴木和夫氏は、長きにわたり保護司を務められ、東北地方保護司連盟会長、仙台市太白地区保護司会長、宮城東華会副理事長を歴任され、現在は東北少年院篤志面接協議会会長を務められている。ご講演は、更生保護制度の歴史から保護実務全般に及んだが、法学初学者にも理解しやすいように配慮され、氏の実直なお人柄をうかがわせるものであった。
 鈴木氏の特別講義を聴講し、大学での法学部教育や法律専門職養成課程には「更生保護」の視点がないことに気づかされ、わが国の「司法制度」の質が透けて見えるように思えた。更生保護制度が、明治期の各種宗教団体による支援活動を端緒としたこと、保護司の活動は篤志家のそれとして未だに「私」が支えて「公」の関与が極めて薄い現実はそのことを物語ると言えよう。「我われの社会は、躓(つまず)いた者の復帰を認めないトーナメント社会になっているように見えるが、再チャレンジを認めるリーグ戦社会であるべきでないか」、「キリスト教精神に基づく東北学院に学んだ者こそ、この分野で活躍してほしい」との鈴木氏の言葉が特に心に残った。                    (文責:法学部准教授 三條秀夫)