東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(33)

2016年03月14日

【多言語が行き交う小さな街】160314-3_01.jpg
 随分と古い話ですが、唐の長安では、阿倍仲麻呂が活躍したように、実に多様な民族出身の人々が集まり、唐という国を形成していたようです。その前後の奈良もひょっとすると似たような状態だったのではないかと想像されます。日本語が主流だったでしょうが、朝鮮語や中国語、中央アジア出身者の言葉、中国東北部の言語なども、街の片隅でほんの30分佇んでいるだけで耳に入ってきたのではないでしょうか。
 人口12万の小さな街ゲッチンゲンも、少し似たような環境にあります。キャンパス内では当然ですが、街中やバスの中で、160314-3_02.jpg英語、中国語、ポルトガル語、イタリア語、ロシア語、トルコ語などが聞こえてきます(判別できない言語も多々あり)。当然、髪の毛や膚・瞳の色など、実に多様です。それらの人々が混じり合って、街を形成します。長安がそうであったように、多くの人が集まるのはそれだけの魅力を街が持っていたからです。現在ドイツは、そういう意味で、ドイツ語をや法制度を基本にしつつ、多文化・多民族国家への道を邁進中のようです。スローゲンは「統合」(Integration)。(写真右上は旧市役所、左上は難民支援のデモ。)
 それがどれだけ現実のものになるかは、今後の努力にかかっているでしょうが、基本路線に変更はなさそうです。


法学部教授
陶久利彦