東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(45)

2016年04月21日

【Tutzingでの会議―その2】
 3時半過ぎまでベッドで休んで会場近くに行ってみると、既に数十人の人たちがロビーにたむろし、ケーキとコーヒーで会話を楽しんでいます。彼らの間を通り抜け討論会場にたどり着くと、そこには4つのボードが用意され、それぞれに「出生前診断」に関連する6つくらいの質問票が掲示されています。いずれも難問。これでどんな会議になるのでしょう?
 さて、4時頃に会が始まると、主催者数人が挨拶をし、例によって議論の持つ意味が強調されます。異なった意見から学ぶことが重要であること、それが理性的議論へと道を開く心情を作り上げること、といったお話です。続いて、会の進め方が説明されます。会議は基本的に参加者相互の議論を促進するためのものなので、関心のあるボードの所―「島」と呼んでいましたが―に集まって互いに議論をし、一定時間が過ぎたら又別の所に行くことも可、とのことです。それぞれのボードには予め2名の専門家が議論誘導者として配置されています。なかなか面白いやり方です。配布資料を後で読んでみると、この日までに前の年から3回ものワークショップを開き、予め4つのボードに掲げられていた質問票をまとめていたそうです。
 そんな風にしてほぼ1時間半が過ぎました。私は「相談」Beratungに関連する2つの島を漂っただけですが、理念は理念として、実際の困難さが参加者から口々に述べられます。議論でもあるし、愚痴を述べる場所でもあるし、というところでしょうか。

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法学部教授
陶久利彦