陶久教授のドイツ留学日記(72)
2016年08月17日
【ビスマルク小屋】
城壁に囲まれた旧市街の南の方に、ビスマルク小屋と呼ばれる小さな建物があります。かつては城壁にへばりついた塔の一つだったのが、ある時期から学生向けの賃貸住宅に変ったそうです。ここに、かのプロイセンの宰相だったビスマルクが、1832年から33年まで学生として住んでいたとのこと。内部は関連資料を展示しているはずですが、残念ながら訪れた当日は閉館。そこで、入り口にあったパンフレットをいただいてきました。
それによると、今年の春から数回にわたって企画されていた催し物は、第二次世界大戦初期にこの町周辺で実際にあった出来事をたどるというもの。主にロシア戦線からこのゲッチンゲン周辺に捕虜が連行され、強制労働に従事させられていたのだそうです。その歴史的事実を確認すべく、跡地を訪ねる遠足や説明会が提供されています。
ナチ期の強制収容所はドイツ各地に残っていますが、上記のような強制労働の事実は知りませんでした。何よりも、過去の負の遺産を再確認するような催し物が企画されていることに感心します。
法学部教授
陶久利彦