東北学院大学

法学部

陶久教授のドイツ留学日記(76)

2016年08月22日

【夏学期の会議―Krankenhaus und Strafrecht】
 7月8日(金)の午後からは、街中にある教会付属の会議室でゲッチンゲン大学刑事法教室主催の会議が開かれました。「病院と刑法」という全体統一テーマのもと、医師と法律家5,6名が現場の話と法的議論の枠組みとを報告します。確かに、日本同様ドイツでも医療過誤や、一歩間違うともっと深刻な事態になったかもしれない軽微な過誤は珍しくありません。それをどのように防けばいいのでしょうか。160822-2-1.JPG
 一つの方策は、個別医師の態度だけではなく病院全体に対しても患者をはじめとする外部から厳しい目を向け、「評価」することです。日本の大学が数年来厳しい外部評価の目にさらされているこ160822-2-2.JPGとを、つい連想してしまいました。ただ、経済的考慮特に費用対効果だけで「評価」が下されると、現場には少なからぬ影響が及びます。各報告者は、現場の現状と苦悩そして改善策の試みを紹介していました。
 そういえば、もっと若い時からドイツに何度も来ているトルコ人S准教授によると、以前のゲッチンゲン大学付属病院の患者の扱いは、現在とは比較にならないくらい良かったそうです。看護師の対応も病院食も、今よりはるかに素晴らしかったとのこと。何が、病院を悪い方向へと導いていったのでしょう?(写真は、会議前の会場の様子と、パネルディスカッション)

法学部教授
陶久利彦