機械知能工学科 松浦 寛教授がレーザー学会産業賞奨励賞を受賞しました
2012年04月25日
4月25日(水)パシフィコ横浜にてレーザー学会産業賞授与式が行われ、本学工学部機会知能工学科の松浦寛教授が受賞されました。
研究件名
「ファイバレーザを基本波に用いたバイオ用共焦点レーザスキャン顕微鏡用555 nm緑色レーザ」
受賞内容
近年,社会の高齢化や遺伝子解析等の医療技術の発展を背景にバイオ分析機器分野は堅調に成長している。
その中に 細胞を観察分析する装置の一つにバイオ用焦点レーザースキャン顕微鏡(以後レーザ顕微鏡)がある。
本555 nm緑色レーザは,このレーザ顕微鏡に搭載されている励起光源である。
このレーザ顕微鏡は,蛍光試薬をつけた細胞にレーザ光を照射して,そこから発する蛍光を解析する装置である。
実際には照射と蛍光観察だけでなく,励起光を変調して細胞に照射したり,強い光を当てて細胞に刺激を与えたりしながら解析するシステムである。
採用頂いた顕微鏡メーカでは,これまでアルゴンガスレーザ(以後Arレーザ)が使われていた.Arレーザの問題は,短寿命・装置大型化・ノイズ,高消費電力・発熱・定期的な要メンテナンス等である。
我々のレーザは,これらをほぼ克服したため採用されるに至った。
DPSSレーザ(Diode Pumped Solid State Laser)も競合商品としてはある。
しかしArレーザに比べて発熱量は小さくはなっているものの密閉された筐体にレーザ制御回路と並べて収納するにはまだ発熱量が大きく使えない.結果的に我々の製品が最も優れたパフォーマンスを示したということである。
我々のレーザの構造は,Yb添加のダブルクラッドファイバを共振器としたファイバレーザ型である。
一般的にファイバレーザは比較的簡単に大パワーが得られやすい反面,発振するレーザ光のノイズを減らすことが難しい.ファイバメーカのノウハウを活かして,実用上問題の無いレベルにノイズを抑える技術を開発したことと,アウトプットを空間ビーム出しではなく光ファイバ出力にしてそれをギャランティしたことが最も大きな特長である。