東北学院大学

新着情報

宮城県産業技術総合センターと東北学院大学経営学部の共同講義―現地現物のすすめ 自動車エンジンにさわってその仕組みを理解しよう―

2012年06月28日

◆講義の趣旨と経緯
 東北学院大学経営学部は、5年ほど前から東北の自動車産業の集積について学術研究を進めており、その分析結果をシンポジウムなどで発表してきました。現在、トヨタ自動車は、この東北の地を国内第3の生産拠点と位置づけ、特にコンパクト車(アクア、カローラなど)の生産を進めております。また、2012年7月には、東北に拠点をおく関東自動車工業(株)、セントラル自動車(株)、トヨタ自動車東北(株)の3社が統合され、新会社「トヨタ自動車東日本(株)」が正式に発足します。
 経営学部は、上記の学術研究を教育に還元する試みとして総合講座Ⅲ(実務家招聘講座)を運営し、東北の自動車産業集積ならびに日本の自動車産業について学生に学ばせております。本講義では、トヨタ自動車やいすゞ自動車をご退職された実務家の方々を講師として招き、自らのご経験を踏まえ、日本のものづくり産業の特質あるいはトヨタ流の生産管理や経営についてご講義を頂いております。
 本講義の一環として6月26日に、宮城県産業技術総合センターならびにセントラル自動車(株)より、萱場文彦様、阿部貴宏様(以上、宮城県産業技術総合センター)、藤原義行様(セントラル自動車(株))の3名にお越し頂き、自動車エンジンの分解実習をおこないました。

◆講義の様子
  トヨタ自動車で長年エンジン開発や車輌企画に携わっておられたメイン講師の萱場様がエンジン構造を解説し(写真1)、その解説に沿って阿部様と藤原様が1988年型クラウンの直列6気筒エンジン(1G-FE)と1997年型プリウスの直列4気筒エンジン(1NZ-FE)を次々と構成部品へと分解していきます(写真2)。


120628-1_image002.jpg
(写真1)


120628-1_image004.jpg
(写真2)

 学生は、分解の様子をただ見守るだけでなく、実際に分解された構成部品を手にとりながら、1988~1997年の10年間で、構成部品がどのように変化してきたのかを学びました(写真3)。例えば、同じ機能を果たす過去の部品と新しい部品を手にして重さを比較することで、実際に、どれくらい軽量化や小型化が進んだかを体験することができました。そのほか、燃費向上に向けて摩擦を減らすための部品形状の変更(カムシャフト)、軽量化に向けた鉄から樹脂への材料変更(インテークマニホールド)、メンテナンスや部品交換の回数を極力減らすための様々な工夫(タイミングチェーン、プラグ)について、実際の部品に触れながら楽しく学ぶことができました。


120628-1_image005.jpg
(写真3)

◆講義の意義
  メイン講師の萱場様からは、「低燃費に向けた軽量化の取り組みなどと書物やネットに書かれているが実際に部品を手にとればそれが直ぐに理解できる、まさにトヨタ流の現地現物という考え方の大切さを分かって頂きたい、また自動車に興味を持ってもらい宮城県そして東北の自動車産業振興にぜひ協力して頂きたい」というメッセージが学生に伝えられました。