東北学院大学

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復興まちづくりを考え、話し合い、学んだ「第3回新浜の自然と歴史の学習会」

2016年12月24日

 12月4日(日)午後1時から、仙台市宮城野区岡田新浜地区の集会所で、「第3回新浜の自然と歴史の学習会」が開催されました。新浜の住民の皆さんを中心に、市民や市民団体、研究者、高砂市民センター、仙台市役所の方々など65人もの参加があり、会場は終始熱気に包まれました。東北学院大学からは、文学部歴史学科の菊池慶子教授と教養学部地域構想学科の平吹喜彦教授、そして双方のゼミ生が多数参加し、運営のお手伝いをさせていだだきながら、お話に耳を傾け、気づきやアイデアを発表し、そして学びを深めました。
 この企画は東北学院大学学長研究助成金「生態系サービスの享受を最大化する‘里浜復興シナリオ’創出プロジェクト」(代表 平吹喜彦教授)による活動の一環でもあります。

 第3回学習会に先立ち、第1回学習会(8月21日)では、海辺の自然との共存やふるさとの海岸林再生がテーマとなり、また第2回学習会(10月23日開催)では、歴史遺構の再評価や里浜の伝統的な暮らしがテーマとなりました。今回は、これら2回の学習会をふりかえりながら、新浜地区の特徴や住民の想いを総括し、それらを復興まちづくりにどのように繋げてゆくのか、構想や道筋を見いだすことが目標となりました。

 第3回学習会では、まず始めに、新浜町内会会長の平山新悦さんから、開会のご挨拶がありました。
 続いて、「第一部 報告」のセッションでは、菊池ゼミに所属する学生が「第2回学習会をふりかえる」と題して、午前中に行われた新浜町内の石碑・社寺などの見学や、午後に行われた『石碑・石像が伝える新浜の暮らしと信仰』調査報告に関して、経過と成果を提示しました。また、午後のグループワークで出された感想や意見、そして終了時に実施された参加者アンケートについての集計結果も報告されました。最後に、菊池教授から、「新浜集落の400年に及ぶ歴史の特徴・重み」についてコメントをいただきました。

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 次に、平吹ゼミの学生と平吹教授が、ふたつの学習会を総括すべく、「大震災を乗り越えてきた海辺の生物や歴史遺構を護り、未来に伝えてゆくことの重要性」、「里浜で受け継がれてきた自然観や暮らしの知恵・技・しくみを、復興まちづくりに織り込むことの大切さ」、「さまざまな参加者が寄り合うことのすばらしさ」などについて、それぞれの目線で私見を述べました。

 「第二部 話題提供」のセッションでは、最初に東京情報大学の原慶太郎教授と富田瑞樹准教授が、『鳥の目から新浜の景観を見渡す』と題して、飛行高度や撮影時代を自在に変えて地域景観を俯瞰するアクティビティーを披露しました。1940年代後半から2015年に至る空中写真や最新のドローン映像がスクリーンに写し出され、参加者は新浜や仙台市域の海辺の状況を、時空を超えて認識することができました。「懐かしいね~」とか、「幼少の頃を思い出したよ」といったつぶやきが聞こえ、また「復興させたいふるさとの具体像」を固める上でも、有意義な取り組みとなりました。
 続いて、宮城大学の佐々木秀之准教授から、『ふるさとを再興するための秘訣』と題して、お話をいただきました。少年時代に遡る海岸とのつながりに始まり、震災後に参加した捜索活動や歴史記録プロジェクト、地域復興支援プロジェクトなどの実体験をもとに、「復興まちづくりを進める際の留意点や課題克服術、しくみづくり」などについてコメントをいただきました。

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 「第三部 意見交換」は、第3回学習会でもっとも大切なセッションです。佐々木准教授を進行役に、東北学院大学の学生を補助者として、「これまでの学習会で集約された発見・アイデアを、新浜の復興まちづくりに活かしていくためにはどうすればよいのか」、数人ずつ9グループに分かれて話し合いました。
 それぞれのグループは、居住地や年齢、男女が偏らないように、あらかじめ振り分けされていました。 自己紹介に続いて、堰を切ったように活発な話し合いが始まり、さまざまな想いや意見、アイデアが飛び交いました。「私がイチオシする地域資源」や「2017年に実行すべき、とっておきのプロジェクト」については、参加者全員で分かち合い、大いに盛り上がりました。考案された9つのプロジェクトはどれもが、新浜の住民と新浜外の住民、あるいは年配者と若者それぞれの想いやアイデアが組み合わさった、意外性に満ちた、素敵なものとなりました。

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 学習会の最後に、新浜町内会副会長の遠藤芳広さんが、全体総括と閉会の挨拶をなさいました。
 参加した本学学生からは、「東日本大震災のつらい体験を乗り越えるべく、ふるさと復興に力を注いでおられる新浜や近隣地域の皆さん、多様な支援者の方々と出会い、とても刺激的な時間を過ごすことができました」、「何より、キャンパスの学びが現実の社会で役立つこと、復興現場で求められていることを実感できたことは大きなよろこびとなりました」、「これからも活動を継続してゆきます」といった決意が語られました。

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