『悲愛』の高橋匡美さんによる特別講義 金菱教授の試み

2017年05月19日

170519-1_12.jpg 5月16日(火)、教養学部の泉キャンパスで行われた特別講義。これは地域構想学科の環境社会学を専門とする金菱清教授の企画で、今春上梓された『悲愛 あの日のあなたへ手紙をつづる』(新曜社)の執筆者の一人である高橋匡美さんを招いての講演「かたりべ(語り部)」でした。
 高橋さんは塩釜市在住で、あの3.11で石巻市南浜の実家で暮らしていた両親を亡くしました。『悲愛』に収録された「届かぬ手紙」には亡くなった両親への思いと感謝の言葉があふれています。
 今回の特別講義には、2年前からはじめた語り部活動を通して風化が言われるあの大震災の出来事を学生たちに伝え、喪失の疑似体験をしてもらうために訪れました。
 「3.11」「東日本大震災」といわれる、災害の発端となる出来事の正式名称は「平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震」。この地震による災害及びこれに伴う一連の原子力発電所事故について「東日本大震災」と呼称することになりました。こうしたことも記憶をたどらなければ「3.11」「大震災」と一言で言ってしまうのがあたりまえになっています。それが「風化」といわれる所以かも知れません。風化が言われ、次世代への伝承が課題となっているいま、金菱清教授が試みたのは「疑似喪失」でした。詳細は割愛しますが、通常の講演ではなく、死生学の観点から学びの場を深め、約90人の学生たちに考えてもらうことを目的とした試みです。
 高橋さんの体験談を傾聴する学生で埋まった教室は、しんと静まりかえっています。高橋さんの語りの合間に金菱教授の「大切なもの」を捨てるための指示が出されます。都合4度、そして最後には残された最後の大切なものとも決別します。この「疑似喪失」の作業はメンタル的にもハードなものでしたが、最後の高橋さんのケアの言葉に救われます。
 金菱教授は、この手法は主に死生学で用いられる「疑似喪失体験」の手法と語り、泉キャンパス2号館232教室での90分間、学生、一般参加の方も数名、そして取材に訪れた6社の記者陣を含めた約120名にとって、静かな余韻を残す特別講義でした。

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