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NHK大河ドラマ「いだてん」の押川春浪に注目!

2019年01月30日

 1月よりNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」がスタートしました。劇中にタレントの武井壮さん演じる「押川春浪」が登場しますが、この押川春浪(本名:方存[まさあり])は、本学三校祖の一人である押川方義(まさよし)の長男であり、春浪本人も一時本学に在籍していました。春浪の活躍は今後のドラマでご覧いただきたいと思いますが、簡単にその人となりをご紹介したいと思います。

 春浪は四国の松山で生まれ、生後間もなく新潟で伝道をしていた父方義に呼び寄せられ、その後仙台で伝道を始めた方義に同行して仙台に来ました。宮城師範学校付属小学校卒業後、単身上京して明治学院に入学し、ここで野球に熱中します。しかし2年続けて落第したため仙台に呼び戻され、父方義が設立した東北学院に編入したものの、事件を起こして放校処分となってしまいます。その後札幌農学校(現北海道大学)に入りますが、ここでも騒ぎを起こして今度は水産伝習所(現東京海洋大学)に入ります。しかしここも退学し、父方義と懇意であった大隈重信が設立した東京専門学校(現早稲田大学)に入ります。この経歴だけでも十分に特異な人物であることが窺われますが、春浪の破天荒エピソードは多数あります。東北学院在籍時の一例を挙げますと、「犬殺しをして教場で煮て食った」、「授業中に気にくわない同級生の長髪に石油をしみこませて火をつけた」などなど。特にこの「頭髪焼討事件」は放校処分の直接の原因となったようです。

 東京専門学校在学時に筆名を「春浪」として、明治33年に処女作『海底軍艦』を発表しました。この作品は、「日本最初のSF小説」と言われており、当時の少年少女を虜にしました。作風は本人同様に破天荒で、ライターの堀越英美氏によると、「明治時代の小説でありながら戦後のロボットアニメにも通じるハチャメチャな要素がてんこもり」「道徳など鼻にもひっかけないアナーキーな暴れん坊だったからこそ、メカ・バトル・謎という少年の欲望をストレートに喚起する現代的なエンタメ小説が書けたのかもしれない」(「不道徳お母さん講座」より)とのこと。また春浪は少女向け小説も書いているのですが、その内容も当時では考えられない内容。前述の堀越氏はこれを指して「野蛮人にとらえられた父と水夫長を村ごと焼き払って救出するという筋書きだ(3回連載)。従順な「家の娘」を理想像とする教訓小説ばかりの少女雑誌に、いきなり「村ごと焼き払う系女子」の爆誕である。明治の少女読者は、さぞや痛快だったことだろう。」(「不道徳お母さん講座」より)と言っています。小説家としての春浪も破天荒であったことがわかります。

 東京専門学校卒業後には博文館に入社し、雑誌『冒険世界』の創刊にあたっては主筆を務め、退社後には自身で雑誌『武侠世界』を創刊します。(『いだてん』第3話のサブタイトルは「冒険世界」でした。)

 春浪の弟、清(日本初のプロ野球チームの創設者)が早稲田大学野球部主将を務めた関係から野球界にも通じ、『冒険世界』誌上でスポーツ振興に寄与し、スポーツ社交団体「天狗倶楽部」を結成しました。ここから先の春浪の活躍は大河ドラマ「いだてん」に大いに期待したいところです。

 東北学院史資料センターでは、清の子であり、方義の孫にあたる押川昌一氏から多数の資料を譲り受け、「押川家文書」としてコレクションしています。これらは『図録 押川方義とその時代』(学校法人東北学院、2013年、下図)に詳しく紹介しておりますが、その中には、春浪に関する資料(直筆の手紙など)も掲載されています。当センターではこれら春浪に関する資料の展示も企画しておりますので、是非足をお運びいただき、ご覧になっていただきたいと思います。

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