東北学院大学

文学部 英文学科

学科長あいさつ

真の国際人の育成

英文学科長 福士 航

英文学科の理念は、「国際語としての地位にある英語の運用能力の涵養をはかるとともに、他文化・他者性に対して鋭敏な感覚を育むことで、多元的な文化に寛容な真の国際人を育成する」ことです。

真の国際人とはどういう人でしょうか。なによりもまず、国際語としての英語の高い運用能力を備えていることが、国際人の条件として挙げられるでしょう。英文学科では、英語を「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を、4年間で段階的に高めるカリキュラムを用意しています。4年次に英語でプレゼンテーションを行える程度にまで英語運用能力を高めることを目指して、「専門教育科目第1類」という科目群を提供しています。よく見比べていただけるとわかることですが、他の多くの大学では、英語スキル上達のための科目は、2年次までしか用意していません。4年間を通じて英語力を高めるカリキュラムが、東北学院大学英文学科の1つの大きな柱です。

また、真の国際人とは、単に英語運用能力が高いだけではなく、他者を理解しようとできる人とも言えるでしょう。我が事のみに拘泥する人は、自己と他者との「あいだ」に関心を向けられないからです。英文学科のもう1つの大きな柱である、2分野の専門カリキュラムによって、わたしたちは、他者理解をつうじて多元的な文化に寛容であることの重要性を学生に伝えたいと考えています。昨今のコロナ禍でいっそう明らかになりましたが、国内外で「わたしたち」と「その他のひとたち」を分けようとする動きが至る所に見られます。分断は対立を煽るだけですが、他者への想像力は共生への手がかりとなります。英文学科での学びによって、「自己」と「他者」とのあいだに知らず知らずのうちに引かれてしまう様々な「線」の存在に気づき、それを乗り越えようとする態度が身につくことを期待しています。

英文学科の専門カリキュラムは2つの学問分野からなっています。英米文学分野では、英米の詩・演劇・小説など文学作品の読解をつうじて、感情移入できる「わたしたち」にも、考え方の異なる多様な「他者」にも出会うことができます。英語学分野では、言語そのものを研究対象として、英語を含む言語の一般的特性や人間の言語能力を研究します。言語は人間にとって大文字の(究極の)「他者」と言われることもあり、言語(他者)を通じた人間理解を深められる分野です。いずれの学問分野をつうじても、「他者」を理解しようとすることで「自己」のありように気づき、他文化や他者性への鋭敏な感覚が育まれるはずです。

正課に加えて、さまざまな海外留学制度や、ヴォランティア活動など、視野を広げる多くの活動に参加できる機会も用意しています。

英文学科での学びを経て、多様な進路選択が可能になります。英語の教員免許を筆頭に、博物館学芸員や図書館司書など、さまざまな資格を取得することができます。資格をもとにした就職や、英語力を生かした航空・旅行業界への就職だけではなく、地域に根ざした企業からグローバルに展開する企業まで、多種多様な業種に人材を輩出しています。専門の学問を深く学び続け、本学大学院への進学後に研究者として活躍されている方も多くいらっしゃいます。