経済学部

学部長あいさつ

経営学を学ぶ皆さんへ


経営学部長 菅山 真次

塞翁が馬(さいおうがうま)
【広辞苑】塞翁の馬が逃げたが、北方の駿馬を率いて戻って来た。喜んでその馬に乗った息子は落馬して足を折ったが、ために戦士とならず命長らえたという故事。

「人間万事塞翁が馬」といいます。人生は吉凶・禍福が予測できないという教えです。

では、人生は運で決まるのでしょうか。なるほど、運は大事ですが、勝つべくして勝つ人というのはいないのでしょうか。

企業についても同じことがいえます。環境は絶えず変化していきます。次に何が起こるか、正確に予測することはほとんど不可能です。そうしたなかで、50年、100年と競争を勝ち抜いて、生き残っていく企業とはどのような企業なのでしょう。

経営学ではトヨタ生産方式について学びます。「ジャスト・イン・タイム」・「自働化」という基本的考え方、無駄を徹底的に排除して製造原価を低減するテクニック、小集団を活用して品質を現場で「作りこんでいく」アプローチ、などなど。

しかし、教科書に書かれていることはすべて、誰でも学習することができ、それゆえ模倣することが可能です。むしろ後発の企業ほど合理的なシステムを構築することができるかもしれません。

トヨタをトヨタたらしめているもの、それは、絶えず「カイゼン」を行う仕掛けを組織自体の中に埋め込んでいることだといわれています。とするならば、私たちが本当に学ばなければならないのは、「定型化」されたビジネス・モデルなのではなく、絶えざる環境の変化の中で進化を続けていくプロセスそのものなのではないでしょうか。

そして、そうした進化の能力こそ「生きる力」の核心であるといえます。

人は運をコントロールすることはできません。しかし、世の中の動きを読み解いて、多様な状況にそのつど柔軟に対応していくことを通して、自らに有利な状況が出現する「確率」を高めていくことは可能です。勝つべくして勝つ人とは、企業とは、そうした能力に長けた人であり、組織なのではないでしょうか。

経営学を学ぶことは、そのような能力を培うトレーニングの一種なのです。その意味で―またその限りで―、経営学は「実践的な」学問であるということができるのです。

皆さんが、このような経営学の醍醐味を知ることができるよう願っています。

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