東北学院大学

教養学部 言語文化学科

2023年4月募集停止

学生募集停止する学部・学科の全ての在学生に対しては、卒業するまでは入学した学科の所属及びその教育環境を維持し、学生生活及び進路・就職支援等につきましても、教職員一同責任を果たしてまいります。

学科長あいさつ

言語文化学科で学ぶ「最後の学生」のみなさんへ

言語文化学科長 信太 光郎

本学の教養学部は全国の大学のなかでもユニークな存在でした。なかでも言語文化学科は、その先駆的な多言語教育の実践などで評価を受けてきました。しかし残念ながらすでに新規の募集を停止しています。つまり現在の所属学生のみなさんはもう最後の学生で、「後輩」をもたない存在ということになります。学生のみなさんの中には、言語文化学科の学びのスタイルがもう古いということなのではないか、時代に取り残されているのではないかと、寂しさや不安を感じているひともあるかもしれません。

しかしそれは的外れな感じ方といってよいでしょう。教養学部、とりわけ言語文化学科の学びの根底には、言語的教養および人文学的教養の伝統がありました。その大切さはむしろこれから再評価されていくだろうと考えます。言葉の習得が機械翻訳にとって置き換え可能とされ、文学や思想はデータベース検索に取って代わられるようとしているかにみえる現在だからこそ、かえって、人間が言葉を読み書き話す能力をもつ存在であること、何か切実な思いや思考を自分の言葉で表現せずにはおれない存在であることが、ますます再認識されていくと考えるからです。先人が残したそうした言葉や思想に向き合い、そこに自らの言葉と思考で応答できるようになること。本学科が学生のみなさんに求めてきた学びの基本は、大学という場所が存続する限り決して変わらないだろうとおもいます。

さらにいうと、みなさんは決して「後輩」がいないわけではないということも強調しておきたいとおもいます。本学科がとりわけ大切にしてきたのは、学生が四年間の学びを通して、自らの「作品」(たとえば卒業論文という形で)を仕上げることでした。もともと教養という語には、自身の人生から作品を作り上げていくという意味が含まれています。しかしそれは単に自己満足のためにするのではないのです。みなさんの作品は、どんなにささやかであっても、人類の知の在庫を豊かにするのに貢献します。それはみなさんの後に残り、誰かの言葉と思考に種を蒔きます。自分でも忘れたころに、あなたのあの論文について意見があると、見も知らぬ「後輩」に呼びかけられるかもしれません。その場合、それに応答する責任がみなさんにはあります。大学での学びは、否応なく人間同士を時間を超えて結びつけるのです。みなさんにはぜひそういう緊張感をもって、言語文化学科の残された学びの機会を存分に活かしていただきたいとおもいます。