東北学院大学

Language

教養学部 言語文化学科

学科長あいさつ

言語文化学科長 津上 誠

言語文化学科長
津上 誠

言語文化学科は文字通り、ことばと文化をめぐる学科です。ごあいさつに代えて、この学科の学びの深さと広がりについてお話しさせて下さい。

この学科では英語ともう一つの外国語を学びます。英語力を伸ばすためのさまざまな訓練には定評があり、卒業生からは複数の英語教員が毎年生まれています。もう一つの外国語は独、仏、中、韓国朝鮮の各言語から選ぶのですが、1年生の授業数は週4回もあり、インテンシブな学びとなります。ネイティブ教員もそろっています。

外国語学習では、かっこよくぺらぺら喋る人を育てるよりも、少々下手くそでも手持ちの外国語知識を駆使しながら自分の言いたいことを何とか相手に伝えられるような人を、育てます。多言語社会において他者と共に生きるための外国語学習、というコンセプトです。

以上のように外国語重視の学科ですが、それで終わるわけではありません。各言語には話者たちの物の見方・考え方、すなわち文化が刻み込まれています。言語文化学科では、外国語を学びながら話者たちの文化や社会について理解を深めます。それを極めようとして交換留学制度により各国に留学する学生も沢山います。海外から来る外国人留学生も少なくありません。

ところで言語文化学科では日本語や日本文化についても学びます。自国のことを知らないのは恥だからではありません。「日本の良さ」を海外に知らせたいからでもありません。外国語や異文化を理解すればするほど、私たちの身体にしみついている日本語や日本文化は不思議なものに思えてきます。そこで、日本語や日本文化を外国語や異文化のように扱って探究し、その不思議に迫るのです。日本語教員の基礎資格をとる学生が毎年多いのも、その探究のおもしろさからです。

多種多様な言語や文化を理解して、自言語や自文化に気づいていく。これらを重ねていくと、「人間とは何か」という大きな問題にも行き着きます。言語文化学科ではそのような問いに触れる哲学や倫理学も学べます。また、人間にとってのことばや文化について真っ正面から探究する、言語学や文化人類学も学びます。学生たちは「人間が言語と文化を通じてしか生きられない動物である」という事実がどんなことを意味しているのか、次第に理解していきます。

なお「文化」とは、ある人々が共有する物の見方・考え方を言います。ですから、「近代」と「伝統」、「西洋」と「東洋」のように大きなくくりを「文化」と考えることもできますし、「現代日本の女子高生のコミュニケーション文化」とか「アメリカ黒人の音楽文化」のように小さなくくりも「文化」として捉え、探究の対象にすることができます。また、文学、美術、音楽、映画、演劇、マンガ、アニメといったメディア文化の諸ジャンルも、重要な考察対象となります。

最後になりますが、言語文化学科には、学生に何としてでも身につけてもらいたい特別なことが一つあります。それは、相手が話すことを忍耐強く聞き、あるいは人が書いたことを丁寧に読みとり、その上で、自分が相手に伝えたいことを、魂を込め、筋道を通して、書いたり話したりする技法です。世に言う「コミュニケーション能力」とは本来はそういうものであったはずです。言語文化学科では入学直後から、1年間の少人数授業プラス半年の教室授業で、一人一人にその能力を身につけてもらいます。

以上、この学科で学ぶことの深さと広がりについて述べてきました。学生たちは学年を追うごとに自分の専門分野を絞っていき、4年生では専門分野の中で立てた問題を探究し、卒業論文を書きます。専門分野を持つことも大切です。しかしこの場では、その前段階における3年間の学びについて、なるだけ分かりやすく紹介してみました。

「言語文化を卒業した英語の先生や日本語の先生はおもしろい」と、よく聞きます。「おもしろい」というのは、誰も思いつかないような魅力的な考えや経験を述べることができるということだと思います。学科独自の深くて広い学びをくぐり抜けた卒業生たちは、英語や日本語の先生になる場合に限らず、自分が働く職場で、自分が作る家庭で、あるいは自分が生きる地域で、必要に応じて「ちょっと待ってくれる?」と言いつつ、他の誰もが気づくことのできないような貴重な提案をすることが出来る人になるはずです。