学科長あいさつ

地域構想学科長
宮城豊彦
例えば「地域を活性化させたい」「宮城県沖地震への備えを考えたい」「自然環境を壊さないように地域を成長させたい」「地域の観光を振興したい」など、身の回りの生活現場に目を向ければ、私たちは常に様々な課題に取り組むことを余儀なくされています。大学を卒業して社会で活躍することを具体的にイメージすると、私たちはどのような力を身につけることが必要なのでしょうか。特定の技術や法律などの力を身につけて、いわゆる専門の立場で仕事をする人もいます。でも、そのような人々だけで、目の前の多くの課題に取り組むことは出来ません。現実の個々の課題は全て個性的であり、その課題の当事者である人々は、それぞれの背景を背負った人格を持っているからです。時折、新聞紙面を賑わす「お役所仕事!」とか「血の通った!」などの言葉には、使われるべき法律や技術を「工夫して、地域の実情に合わせて適用したら良いのに」という思いが込められています。
地域構想学科では、地域社会の仕組みを理解し、実態を把握するための基本的な学問・知識・技術を学ぶことと、それを現実の地域で、具体的な課題に応用してみることとの二つを実践します。私たち教員一同は、それぞれがいわゆる専門家ですが、同時に人が生活する具体的な地域をフィールドとして、地域の課題に取り組む実践者でもあります。地域構想学科はそういう意味の専門家集団から出来ています。現代は、既存の学問体系がどんどん細分化し、その社会への運用において様々な行き詰まりが目立ってきています。知識の体系を現実生活に適用するための仕組みとか仕方を知の力として適用する能力を養うことが望まれています。先にあげた学びと地域での実践に教員自身も精進し、学生諸君と共に汗を流し苦労することで、新しい学科としての実を挙げて行きたいと思っています。
地域構想学科で力を入れているフィールド調査について、少し紹介します。私自身一人の専門家として国内外で数多くのフィールド調査を手がけてきました。先日もメキシコのユカタン半島において、マングローブ枯死林の環境修復を実践してきたばかりです。この仕事を手がけて5年が経過しました。3年前からの環境修復が功を奏して、相手国側諸機関が何度も失敗していた植林に成功しました。でも、もっと大事なことがあります。周辺の枯死林自体の回復が始まり、この状況を見ていた地域の人々が森の復興に動き始めたのです。本を読むことや実験を行うことは、想定したモデルの実現には近道かもしれません。でも、フィールドとは、「調査を行いながらも学び、思いもよらない成果も目に見える形で現れる」そういう場所です。フィールドでの「目からウロコ」の気づきや、結果の多面的な展開は、既存の学問分野では想定されないことです。
宮沢賢治の有名な詩「雨にも負けず」の一節に、「東に病気の子供あれば、行って看病してやり、西に疲れた母あれば、行ってその稲の束を負い」とあるように、知力と体力の双方を駆使して、地域や人の役に立てる自分に充実を感じる、そうゆう人に共になって行きたいと思っています。
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